◆県日中友好協議会 平野常務理事

 静岡県と中国浙江省の友好提携三十五周年を記念し、川勝平太知事を団長とする県訪問団が、十二日から三泊四日の日程で浙江省を訪れる。一九八二年の提携時から交流を支えてきた県日中友好協議会の平野一恵常務理事(59)は、尖閣諸島問題など国家レベルの危機を乗り越えて続く友好関係について「並大抵のものではない。地域間の交流だからこそ築ける縁がある」と意義付ける。

 県と中国が交流を始めたのは七三年。当時の知事だった竹山祐太郎氏が衆院議員時代に日中国交回復に尽力したことなどから親交の機運が高まり、訪問団の相互派遣を重ねた。九年後、地方間でより密な関係を築くため、気候や風土、お茶とミカンの産地など共通点が多い浙江省と友好提携した。これまでに医療や教育、スポーツなど各分野で計十七本の協定を締結したほか、五輪メダリストも交えた卓球交流など、官民連携で親善を深めてきた。

 前回二〇一二年の三十周年の訪問時は、尖閣諸島問題を巡り日中関係が悪化。日程延期、派遣団縮小などの影響はあったものの、五年に一度の訪中が中止されることはなかった。平野さんは「対日感情は厳しい部分があったと思うが、私たちの訪問が拒まれることはなかった」と振り返る。

 友好提携から三十五年がたち、訪問団も代替わりが進む。「大きな中国には相手にしてもらえないが、地方同士だから築ける信頼関係がある。静岡県と浙江省の交流はどこよりも深い。平和的に、穏やかに保ってきたつながりを今後も継承していきたい」と願う。

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 県訪問団は、浜松市など八市町の関係者や経済団体、民間団体の有志ら総勢四百六十五人で構成。浙江省主催の記念式典に参加するほか、書道や和食の試食会などを通して親善を深める予定で、十五日に帰国する。

(松野穂波)

2017年11月12日 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20171112/CK2017111202000063.html