浦項の地震、慶州より震源浅く広範囲で揺れ観測
慶州地震から1年2か月、韓国南東部で再び大地震

昨年9月にマグニチュード(M)5.8の慶州地震が発生してからわずか1年2か月で、慶州にほど近い浦項でM5.4の地震が発生した。専門家らは、強い地震がさらに別の地震を誘発する「地震ドミノ」現象が起きていると分析する。ここ1年で慶州地震の余震は減少し、地質構造が安定化の段階に入ったとの観測も出されたが、今回の大規模地震の発生により、慶州地震が現在も進行中だとの説が有力になっている。地質学会はこれまで、韓半島(朝鮮半島)の断層構造上、最大でM6.5−M7.0の超大型地震も発生し得ると予測してきた。

■地球を覆うプレートの内部も不安定

 韓国地質資源研究院(地質研)のイ・ユンス博士は「今回の地震は、韓半島西側にあるインドプレートと東側にある太平洋プレートがぶつかり合って発生した衝撃が、プレートのひび割れを伝って噴出したもの」と発表した。

 イ博士は「西からインドプレートがヒマラヤを押し、その力が韓半島まで伝わった状態で、東の太平洋プレートがこれに抵抗し、梁山断層が南北方向にずれたものとみられる」と説明した。昨年の慶州地震は、慶州の南西部を通っている梁山断層と、その西側にある牟梁断層の間の地下にある無名の断層がずれて発生した。ソウル大地球環境科学部のキム・ヨンヒ教授は「慶州地震と異なり今回は全国で揺れが観測された。これは震源の深さが昨年(13キロ)に比べて深さ9キロと浅かったことにより、エネルギーが四方に広く伝わったため」と説明した。

 通常、地震はプレート同士がぶつかり合う境界部で発生することが多い。中国で発生した四川大地震や、日本で発生している地震がそのケースだ。韓半島はユーラシアプレートの内側に乗っているため、地震が起きにくい安全地帯といわれてきた。しかし、最近は韓国でも大規模地震が頻発しており、これまでの仮説が崩壊し始めている。イ博士はこれについて「テニスボールを上下に押すと左右につぶれる。プレートがぶつかる場所に力が加わる際も、その余波がプレート内部の複雑な構造を伝ってプレートの内側まで届く」と説明した。

■九州−慶州−浦項 地震ドミノの懸念も

 地質学会では、慶州地震の震源に近い位置で再び大きな地震が発生した点に注目している。専門家らは昨年、日本の九州地方で発生した熊本地震が慶州地震を誘発し、その余波でさらに浦項地震が発生するという「地震ドミノ現象」が起きた可能性を指摘している。釜慶大地球環境科学科のキム・ヨンソク教授は「浦項地震は1年前の慶州地震の延長線上にある」として「今後も同じような規模の地震がドミノのように発生する可能性が高まった」と指摘した。

 実際に慶州地震以降、多数の学者が「今後3年は地震の兆候を注視する必要がある」と主張している。延世大地球システム科学科のホン・テギョン教授は今年初め、国際学術誌に「慶州地震による断層の破裂面積は、地質研の推定値よりはるかに大きかった」と発表した。ホン教授はこのことを根拠に「慶州地震が東海(日本海)の断層を刺激し、さらなる地震を誘発する可能性がある」と警告した。

 キム・ヨンソク教授は「M5前後の地震は、断層の幹線ではなく支線で発生する」として「梁山断層やその近くの蔚山断層の幹線がずれれば、M6以上の地震も発生しかねない」と指摘した。地質研のソン・チャングク国土地震研究本部長はこれに先立ち「地震は一般的に、過去に地震発生の記録がある地域で再び発生する。梁山断層は常に地震を起こす危険性のある活断層」と述べた。梁山断層周辺では17世紀(朝鮮王朝時代)にもM6.5以上と推定される地震が発生したとの記録がある。

 15日の浦項地震では本震発生から2時間後にM4.6の余震が発生した。専門家らは、今後3か月は余震が続く可能性が高いとみている。しかし、次の地震の場所や規模については予測が難しい。断層がどこにあるのか全てを把握するのが困難だからだ。韓国政府は慶州地震以降、周辺の断層地域に対する調査を実施している。来年から5年かけて梁山断層周辺の活断層地図の作成にも取り組む予定だ。

李永完(イ・ヨンワン)科学専門記者 , 崔仁準(チェ・インジュン)記者

2017/11/15 23:04 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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