<座間事件>トレンドブログにデマ氾濫 安易な拡散は同罪

11/20(月) 22:26配信
毎日新聞

ネット上のデマに長年苦しんだスマイリーキクチさんは、ツイッターに「あいまいな情報にまどわされないで」と投稿した

 ◇スマイリーキクチさん 優越感に浸る 放火魔のよう

 事件や芸能人の醜聞など注目の話題を取り上げるトレンドブログが、神奈川県座間市の9遺体事件で事実無根の投稿を多数掲載している一件に、お笑い芸人スマイリーキクチさん(45)が関心を寄せている。彼自身「殺人に関与」などとネット上のデマに長年苦しめられ、人権侵害への対処法を各地で説く。そんな経験を踏まえ、トレンドブログがフェイクニュースの温床となっている現状をどう見ているのか。【大村健一】

 −−スマイリーさんは座間事件発覚直後、ツイッターで「あいまいな情報に惑わされないよう気をつけたい」と発信されました。

 ◆今回の事件は異常性や猟奇性から世間の注目を集めると感じ、容疑者に関する情報がネット上で飛び交うと思いました。ネット上で容疑者のあやふやな情報が出回り、無関係な親族などの個人情報がさらされ、度を越す嫌がらせが起きる危険性を感じ、注意を呼びかけました。

 −−ネットのデマはなくなりません。

 ◆自分の書き込んだデマで騒ぎが起き、ブログの閲覧数やリツイート(拡散)が増えて優越感に浸る人がいます。自ら火を放ち、周囲に燃え広がる様子を楽しむネットの放火魔のような存在です。

 トレンドブログではデマを流して広告で儲(もう)ける人もいます。「儲」は「信じる」に「者」を足した字。いかに「信者」を増やすかで広告収入が左右される。今やデマは産業の一つです。今後もそんな手口は増えていくと考えられます。

 −−デマに接したネット利用者はどうすべきでしょうか。

 ◆大事件のたびに加害者やその親族が注目されます。加害者を脅迫したり、個人情報をさらしたりすることを正義と考える人もいますが、まったく身勝手な行為です。事件への怒りを抑え、被害者の声にまずは耳を傾けてほしい。

 リツイートやコピペ(そのままの引用)は発信者の「連帯保証人」になることに等しく、同等の責任を負わされます。安易なリツイートは避けてほしいと思います。

 −−スマイリーさんのような被害者を生まないために、何が必要でしょうか。

 ◆ネット上で一度でも悪者というレッテルを貼られてしまうと否定も通じないし、悪評は簡単に払拭(ふっしょく)できません。ネットへの書き込みはその場かぎりでも、何十年後もそれが検索され表示されるのならば、毎日書き込みを続けているのと同じ。そんな意識と責任を持ってネットを利用してほしいと思います。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171120-00000104-mai-soci