朝鮮学校を高校無償化の適用対象から外したのは違法だとして、九州朝鮮中高級学校(北九州市)の卒業生らが国に損害賠償を求めた訴訟で、原告側が文部科学省前事務次官の前川喜平氏の陳述書を福岡地裁小倉支部に提出したことが7日、分かった。

原告側弁護団は陳述書の内容を明らかにしていないが、無償化適用を求める原告側の主張に沿った趣旨とみられる。

同支部でこの日口頭弁論があり、原告側弁護団が閉廷後、明らかにした。国を相手取った訴訟で、次官経験者が現職時の業務に関して相手側から陳述書を出すのは異例。文科省は「係争中の事案のためコメントは控えるが、本件については法令の趣旨にのっとり適切に判断した」としている。

原告側弁護団によると、陳述書の内容は前川氏が出廷する前提で「(法廷で)どういうことを話すか、認識している事実がどういうものか」を記述。8月14日付東京新聞朝刊に掲載された前川氏のインタビュー記事と同じ趣旨だという。

この記事で前川氏は、朝鮮学校が無償化の適用外とされた経緯を語り、平成22年4月の無償化制度導入当初、文科省内で無償化の対象に朝鮮学校を追加する前提で検討が進められていたとしている。

前川氏は初等中等教育担当の審議官時代、当時の民主党政権の意向を受け、朝鮮学校への高校無償化適用を担当していた。その後適用除外された朝鮮学校について「司法で救済してほしい」とも述べていた。

原告側は訴訟で前川氏の証人尋問を申請。弁護団によると、前川氏は証人尋問について「裁判所の命令だったら行くしかない」と応じる姿勢を示しているという。


2017.12.8 06:00
http://www.sankei.com/life/news/171208/lif1712080003-n1.html