https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171222-00001716-chosun-kr

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪中行事を取材していた韓国人記者が14日、中国公安の指揮を受ける警備会社社員から集団暴行を受けた。中国外務省報道官は「もし誰かが負傷したなら、当然関心を示す」と述べた。15日には「匿名」の中国当局者が韓国外交部(省に相当)に「事件の経緯とは関係なく心からいたわりの気持ちを表する」とした。「謝罪」はおろか「遺憾」の表明もまだない。中国側は「事件の経緯が迅速かつ徹底的に明らかになるように最善を尽くすつもりだ」と述べたが、結果に期待はできない。

 中国の非道さは昨日今日のことではない。2011年12月、韓国の経済水域で違法操業をしていた中国人船員が、取り締まりに当たっていた海洋警察庁隊員らを凶器で殺害した。事件があった日、中国外務省は「韓国側は中国人漁師の合法的権利を保障せよ」という強引な主張を展開したが、三日後になって「遺憾だ」と一言述べた。韓国政府が、中国人船長を逮捕すると、北京駐在の韓国大使館の窓に空気銃で鉄の玉が撃ち込まれた。中国はこの事件を「徹底捜査する」と誓ったが、犯人はいまだに捕まっていない。2005年には当時ハンナラ党(現:自由韓国党)の金文洙(キム・ムンス)、ペ・イルドの両議員が中国で脱北者の人権問題に関する記者会見をしようとしたところ、複数名の暴漢に暴行された。ハンナラ党は韓国にある中国大使館を通じて抗議したが、中国は何の弁解・説明もしておらず、事件の真相は明らかになっていない。

 記者暴行事件直後、韓国大統領府関係者は記者団の所に来て「(この事件の)報道を少し遅らせてくれ」と頼んだ。文在寅大統領の訪中成果が今回の事件で目立たなくなってしまうことを懸念したのだ。この関係者は「暴行についてはその当事者間の問題のように見える」とも言った。同日発表された与党「共に民主党」報道官の論評でも「中国人警備員側に遺憾の意を表する」という題だった。責任の当事者を「警備員側」に限定したのだ。韓中間の外交問題に飛び火することをできるだけ食い止めたかったのだろう。

 暴行された記者が眼窩骨折や眼球出血などで治療を受けていた同じ時刻、一部の熱狂的な文在寅大領支持者たちがインターネット上に「キレギ」(日本語で言えばマスゴミ、記者とゴミを表す韓国語の略語)を非難する文章をインターネットに載せ始めた。「キレギ2匹が中国でトラブった」「キレギは文在寅政権の外交をつぶそうとしているようだ」などの書き込みが相次いだ。

 熱狂的な文在寅大領支持者たちは5日、与野党が来年度予算案に合意・可決すると、共に民主党の禹元植(ウ・ウォンシク)院内代表を「無能者」「野党のスパイ」と攻撃した。禹元植院内代表を手伝い、実務交渉をした朴洪根(パク・ホングン)院内首席副代表が「(書き込みによるバッシングは)大統領を助けることにはならない」と発言してさらにネットでたたかれた。暴行された記者を非難する行為も、決して大統領のためにならない。彼らが「キレギ」と非難しているのは、韓国大統領に正式に随行している記者たちだ。

 中国とは違い、韓国は普遍的人権を保障する国だ。ところが、盲目で熱狂的な文在寅大領支持者がその常識を覆して暴行された記者を非難した。それを見る中国人は何を思うだろうか。