【ソウル=峯岸博】

韓国各紙は28日付で、従軍慰安婦問題に関する日韓合意の検証結果を1面トップや社説などで大きく取りあげた。日韓両政府間の「裏合意」が存在したとそろって問題視する一方で、保守系大手紙を中心に日本政府との間で公開しない約束だった交渉経緯を暴露した点を批判する論調も目立つ。

中央日報は社説で「30年間秘密にすべき外交文書が2年で公開された。外交上越えてはならないラインが守られなかったのは大問題だ」とし「今後、日本は言うまでもなく、どの国が韓国政府を信じて秘密の取引をするだろうか」と作業部会の報告書内容を批判した。

東亜日報も「非公開で管理すべき外交文書を数多く公開したのは国際社会で韓国の信頼を落とす」と批判した。

朝鮮日報は「慰安婦合意は瑕疵(かし)に劣らず意義も多かった」と題する社説で合意を評価。「もし2年前の合意を破棄し、再交渉を求めれば韓日関係は完全に破綻する」とし「北朝鮮が核戦力の完成を宣言したいまの状況でいつまでも過去にとらわれているわけにもいかない」と訴えた。

一方、革新系のハンギョレはソウルの日本大使館前の慰安婦少女像や慰安婦の名称問題などをめぐる非公開協議について「非公開でやることだったのか根本的な疑いがある。安倍晋三、朴槿恵(パク・クネ)両政権が自分たちの政治的な目的で隠そうとしたことだ」と非難。京郷新聞は「韓国に敏感な内容は非公開で処理し、日本の要求を大部分受け入れた」として日韓合意を破棄するよう韓国政府に求めた。


2017/12/28 12:05 日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25194470Y7A221C1EAF000/