文在寅(ムン・ジェイン)大統領は4日、従軍慰安婦被害者の女性8人を大統領府に招待して昼食を共にした。大統領府によると、この日招待された慰安婦被害者たちが京畿道広州市内の支援施設「ナヌムの家」と大統領府を往復する際には大統領秘書室儀典車が提供されたとのことだ。大統領府の朴洙賢(パク・スヒョン)報道官は書面会見で「警察のエスコートの下、『国賓』移動時と同じ最高の礼遇をもって送迎した」と述べた。

文大統領が金正淑(キム・ジョンスク)夫人と共に大統領府本館の玄関口に立ち、到着した慰安婦被害者たちを出迎えたことも国賓待遇を連想させた。大統領府によると、別々に移動する慰安婦被害者たちが到着するまで、文大統領は玄関口に15分間立ったまま待っていたという。

また、文大統領は同日午前、入院中の慰安婦被害者キム・ボクトンさん(93)を見舞い、「(慰安婦被害者の)皆さんお元気で闘っていただかなくては」と声をかけた。だが、その一方で「過去の政権(朴槿恵〈パク・クネ〉政権)が(慰安婦問題で)公式に合意したのも事実だから、両国関係の中で解決していかなければならないが、容易でない面もある」と述べた。

文大統領は昼食会で、2015年12月に締結された慰安婦問題をめぐる韓日合意について、「真実と正義の原則に反するだけでなく、政府が慰安婦被害者たちの意見を聞かずに一方的に推し進めた、内容も手続きも間違ったもの」と言った。

その上で、「大統領として、この合意は両国間の公式の合意だという事実は否定できないが、その合意で慰安婦問題が解決されたというのは受け入れられないとはっきり言う」と強調した。慰安婦被害者たちは慰安婦問題に対する日本の公式謝罪を取り付けるよう文大統領に要望した。

大統領府は、先月の外交部(省に相当)長官直属韓日合意検討タスクフォース(作業部会)の調査結果発表後、慰安婦被害者たちの意見を聞くために、この日の懇談会を設けたと説明した。大統領府は来週にも慰安婦合意の後続対策を発表する予定だ。

文大統領は先月、「この合意では慰安婦問題は解決できない」としながらも、「歴史問題の解決とは別に韓日間の未来志向的な協力のため、正常な外交関係を回復させていく」と言った。慰安婦合意問題と安保・経済協力を切り離して扱う「ツートラック」戦略で対日外交を進めていくという意味だ。平昌冬季五輪後の文大統領訪日も推進されていると言われている。

しかし、文大統領の期待通り、日本が「ツートラック」外交に応じるかどうかは未知数だ。政府消息筋は「昨年11月のドナルド・トランプ米大統領訪韓時、大統領府が国賓晩さん会に慰安婦被害者を招待し、『独島(日本名:竹島)エビ』をメニューに出したことなどについて、日本側には感情的なしこりがある状況だ」と話す。

日本政府は「慰安婦合意を守らないなら両国関係もない」という姿勢を取っている。菅義偉官房長官は同日、テレビ番組のインタビューで、「1ミリたりとも動かさないのが日本の姿勢だ」と述べた。「1ミリも動かない」という発言は先月初めに安倍晋三首相が言ったとして日本のメディアが報道したものだが、この日、日本政府のスポークスマンである官房長官が公の場であらためてクギを刺したことになる。

一方、文大統領は10日、大統領府で今年の国政運営方針を新年の辞として発表し、政治・外交・安保・南北関係・経済分野について国内外の記者を前に会見を開く予定だ。


2018/01/05 09:07 朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/01/05/2018010500654.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/01/05/2018010500654_2.html