平昌五輪開会式への参加を表明した日本の安倍晋三首相が、参加表明を前に、自国の世論に配慮しつつも実利を取るために入念に布石を打っていたことが分かった。首相官邸、自民党、外務省が一丸となって動いていたのだ。

安倍首相は23日午後、右翼性向の産経新聞とのインタビューで「平昌五輪に出席する」と初めて表明した。国内世論をなだめるために、首相の平昌五輪出席に反対する人々が最も好むメディアを通じて訪韓を表明したものとみられる。安倍首相は同時に、自らに近い自民党議員と会い「訪韓反対の声が出れば、韓国へのけん制になる」と根回しした。批判を承知で平昌に行くという姿勢を強調するためだ。

外務省は安倍首相の平昌五輪出席を韓国にすぐには伝えず、翌日の午前6時30分、産経新聞が配達されてから、駐日韓国大使館に電話で「事後報告」した。読売新聞は「韓国政府があらかじめ韓国メディアに情報を流せば韓国メディアが『友好ムード』をアピールするため、それを避けるためだった」と書いた。

韓国は昨年7月に行われた韓日首脳会談で、安倍首相に平昌五輪への出席を初めて要請。その後、11月の電話会談であらためて出席を要請し、先月には外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官が東京を訪れ、平昌訪問を要請する文在寅(ムン・ジェイン)大統領のメッセージを伝えた。外交筋は「安倍首相はこのときすでに、訪韓する方向に傾いていた」と話した。

しかしその意向は口には出さず、「国会日程を検討する」と言葉を濁したまま平昌五輪出席を韓国への圧力カードとして使った。

10日に行われた年頭記者会見で文大統領が「慰安婦問題は終わっていない」と発言したときが一番のヤマ場だった。日本国内でこの発言に反発する世論が高まり、首相官邸と外務省では首相の平昌五輪出席に反対する意見が強くなった。

しかし、同日に米国が日本の袖を引いた。米国はペンス副大統領の訪韓を発表し、水面下では日本に「米国と日本が共に平昌を訪れ、北朝鮮への圧力強化での連携を見せつけよう」と働き掛けたのだ。

安倍首相は12日に東欧歴訪に出発する際、側近たちに自身の訪韓を極秘に検討するよう指示した。安倍首相の東欧歴訪中には、二階俊博幹事長をはじめとする自民党の知韓派が「首相が韓国に行くことが日本にとってもプラスになる」と主張した。

こうして周囲の雰囲気を固めた上で、安倍首相は自ら24日午前に訪韓を正式に発表した。そして、発表前日に安倍首相が根回しした通り、自民党の強硬派議員15人が自民党本部で「首相の訪韓に反対する」と即座に声を上げたのだ。


2018/01/25 23:14
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