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 ■「トラブルを避けた…」

 【平昌=時吉達也】平昌五輪に絡む企業活動が活発化する中、国際オリンピック委員会(IOC)のトップスポンサー13社の一つ、トヨタ自動車の存在感が全くないことをいぶかしむ声が、韓国内で上がっている。日韓間の情勢が不透明な中、「日本バッシングに巻き込まれるのを避けたのではないか」との臆測も浮上している。

 高さ15メートルの巨大自動販売機を設置し飲み物を配る米コカ・コーラ、アミューズメントパークさながらにいくつもの仮想現実(VR)アトラクションを登場させた韓国サムスングループ…。江陵(カンヌン)の五輪公園は、グローバル企業の広報パビリオンが軒を連ね、1時間以上の順番待ちの行列ができる盛況ぶりを見せる。しかし、3つの楕円(だえん)を組み合わせたトヨタマークは見当たらない。

 トヨタは2015年3月、IOCの最高位スポンサー制度「TOPプログラム」の契約を発表。自動車メーカーとして、全世界で独占的に商業活動できる権利を得た。期間は24年までで、非公表の契約金額は1千億円規模に上るとみられている。

 今回の五輪では、フィギュアスケート銀メダルの宇野昌磨選手ら20カ国・50人以上の選手を支援。一方、大会ロゴを使った宣伝活動は一切せず、IOC役員らの送迎用車両20台が競技場周辺を走るのみだ。

 トヨタに代わり、韓国の現代自動車グループが国内限定のスポンサー契約を平昌五輪組織委員会と結んだ。トヨタ広報担当者は「現代グループの交渉が先に進んでいたため、韓国内でのマーケティングは見送った」と説明する。

 こうした状況に、韓国紙の京郷新聞は「スポンサーのそぶりも見せないトヨタ…なぜ?」と題した記事を掲載。韓国経済紙マネートゥデイは「日韓関係の情緒の問題が影響した」として、トヨタが両国間のトラブルに巻き込まれるのを避けたとの見方を示した。平昌入りする関連企業の関係者は「平昌での広報活動の効果は限定的だと判断したのだろう。あくまでも主眼は20年の東京五輪に置かれている」と話している。