2018.2.26
 中国商務省は昨年9月、自国内の北朝鮮企業や合弁企業に対して今年1月8日までの閉鎖を命じた。国連安全保障理事会の制裁決議2375号に従ったものだ。

 これを受け、北朝鮮レストランとしては世界最大規模と言われた平壌高麗館(遼寧省丹東市)がひっそりと店を閉めるなど、かつては100店舗に及んだ中国国内の北朝鮮レストランの多くが閉鎖に追い込まれた。

 ところが、その後も中国国内のレストランで働く北朝鮮の女性従業員の姿が目撃されている。その裏には、北朝鮮当局による巧みな制裁逃れの術がある。その現場を、デイリーNKの特別取材班が取材した。

 中国遼寧省の丹東。北朝鮮との国境を流れる鴨緑江のほとりに立つあるレストランには、中朝両国の国旗が掲げられている。店頭に掲げられた案内によれば、同店の目玉は「平壌女性の歌と踊り」だ。どうやら、中国人が経営する「北朝鮮風」レストランのようだ。 店内では、若い中国人従業員に混じって北朝鮮女性が働いていた。

 取材班が「韓国から来た」と告げても、女性従業員は当惑の色を見せるどころか、嬉しそうな表情を浮かべた。そして、「南朝鮮(韓国)のお酒あります」「オリンピックはうまく行っていますか?」などと、自分から客に問いかけるフレンドリーさだった。

 さらに「ソウルに行ってみたいか」と質問してみると、「はい、行きたいです」と笑みを浮かべた。接客のプロとしての営業トークなのか、韓流好きな北朝鮮女性の本音なのか、取材班には見極めがつかなかった。一昨年、レストラン従業員の集団脱北が北朝鮮国内でも大問題になったことを思えば、彼女らの言葉はきわめて大胆なものにも思える。


 彼女たちは中国語も非常に流暢だ。仕事を終えた後、毎日30分間は勉強しているという。休日は月に1日だけで、自由に外出することもできなければ、服装も決められている。携帯電話を使えるかたずねたところ「平壌の家にはありますが、ここでは使ってはならないことになっています」との答えだった。ただし、手紙のやり取りに制限はないため、家族が恋しくなるたびに両親に手紙を出すという。

 彼女らの正体は、張鉄久(チャン・チョルグ)平壌商業総合大学の学生たちだ。


 張鉄久とは、故金日成主席の抗日パルチザン時代の炊事兵だった人物で、その名を冠した大学は、レストランやホテルなど観光分野で働く人材の養成機関となっている。


 卒業後は外国人が利用する高級ホテルやレストランに配属され、海外に派遣されるチャンスもあることから、北朝鮮女性の間で非常に人気が高い大学であるとされる。

 同大学では、2年間の教育を受けた後に、中国のレストランで2年間働くインターン制度を2014年から実施している。

 韓国の中央日報は2016年4月、上海の北朝鮮レストラン・清流館でこの大学の女子学生がインターンとして働いていると報じている。同店は、朴槿恵政権(当時)が2016年2月、韓国国民に向けて北朝鮮レストランの利用自粛を呼びかけるまでは、上海を訪れる韓国人観光客の定番コースだった。

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