中国外務省の華春瑩報道官が1日、約1カ月ぶりに記者会見に姿を現した。ときに辛辣(しんらつ)な日本批判も放つ、
「コワモテ」の女性スポークスマンの長期不在は、外交関係者の間でも噂を呼び、台湾メディアは直前、「当局の捜査対象となっているようだ」と報じていた。
習近平国家主席の「独裁強化」が指摘される中国で、何かが起きているのか。

北京の外務省で行われた定例会見。華氏は「中東での米中露の覇権争い」や「台湾問題」などについて、淡々と答えた。
長期不在には触れなかった。やや髪が短くなったように感じた。

 海外メディアが注目したのは、台湾の有力紙、自由時報(電子版)が2月28日、中国の警察が、華氏の自宅から現金500万ドル(約5億3300万円)や、
米国移住を準備していることを示す資料を押収し、国家転覆罪で捜査対象にしているようだ−と伝えたためだ。

 ただ、同記事には「真実かどうかは確認されていない」ともあった。
 このニュースは、米国や香港のネットメディアで紹介され、一気に華氏の「失脚説」や「逮捕説」が広がった。

中国外務省のホームページ(HP)によると、華氏は1970年生まれの47歳。
既婚で娘が1人いる。厳しい表情の中国外務省のスポークスマンとして、日本でもおなじみの存在だ。歴史認識や安全保障をめぐって、
辛口の日本批判を展開することで有名だ。
ところが、河野太郎外相が1月下旬、「中国の有名な女性と一緒に!」との書き込みとともに、
ツイッターに華氏とのツーショット写真を投稿した際には、普段あまり見られない笑顔を浮かべていたため、大きな話題を集めた。

 2月1日の定例会見から約1カ月、華氏が不在だったことを、中国情勢に詳しい専門家はどう見るか。

 評論家の石平氏は「健康上や家庭などの個人的理由で休んでいたか、または昇進のための2、3カ月の研修を受けていた可能性が考えられる。
台湾メディアで報じられたため、一度、記者会見に出ざるを得なくなったのではないか」と話した。

 中国外務省は江沢民元国家主席派の牙城のため、違う見方もある。

 ノンフィクション作家の河添恵子氏は「中国外務省は江沢民派が多い。中でも、華氏は江派幹部に近いとされる。
習主席が憲法を改正して『終身独裁体制』を目指すなか、熾烈な権力闘争に巻き込まれていた可能性もある」と語った。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180303/soc1803030006-n1.html
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180303/soc1803030006-n2.html