2018年03月12日
韓国を訪れる外国人観光客がどんどん減っている。

韓国銀行が3月6日に発表した「2018年1月国際収支(暫定値)」を見ると、1月の旅行収支は21億6000万ドルの赤字。昨年7月の赤字(17億9000万ドル)を超える、過去最大の赤字となってしまった。

原因は、外国人観光客が韓国を訪れないことに尽きる。1月の「国内入国者数」は95万6000人となっており、韓国を訪れた外国人観光客は前年同月比で21.7%も減ってしまった。

訪韓する外国人観光客が減っているのは、やはり中国の影響が大きい。

昨年3月から始まった韓国への団体旅行を禁止する“禁韓令”は、昨年11月末に一部解除されたものの、未だに中国人観光客が韓国に戻っていないのだ。1月に訪韓した中国人観光客は30万5000人で、昨年1月より46%も減っている。

中国人「韓国旅行はもう二度とごめんだ!!」

ただ、それも当然かもしれない。

2/4ページ
というのも中国人観光客のなかには、禁韓令以前から「韓国旅行はもう二度とごめんだ!!」と嘆いていた人が少なくなかったからだ。


韓国のインバウンド事業は中国人観光客にかかっているといっても過言ではないだけに、彼らが戻ってこないとなると、今後も旅行収支の赤字は続いてしまうと考えられている。

中国人だけでなく、ヨーロッパからの観光客も1.4%減少。それでもアメリカ人は7.9%、日本人は4.7%と増加している。

それだけに、中国の団体観光客に比重を置くのではなく、「他の国の人たちも韓国に来て楽しめる観光商品を開発しなければならない」という専門家の指摘も尽きない。

とはいえ、韓国には訪韓外国人観光客のリピート率が低いという問題もある。

例えば以前『聨合ニュース』が伝えたところによると、2016年に日本を訪問した外国人観光客は2403万9053人で、訪韓外国人観光客は1724万1823人だった。

どちらも多くの外国人が訪れていることがわかるが、リピート率には大きな差があった。日本はリピート率61.6%だったのに対し、韓国は38.6%だったのだ。


遅れる飛行機、女性観光客にとって危ない国

さらに、韓国にはインフラや治安などでも不安を抱えている。

3/4ページ
例えば、仁川国際空港は最近、定時運航率(出発予定時刻以降15分以内に出発した便数の割合)が“世界最低レベル”であることが明らかになった。

アメリカの航空統計専門サイト「FlightStats」が明かしたもので、仁川空港の飛行機の遅延時間は平均43.9分だというのだから、問題が根深い。

(参考記事:遅延時間は平均43.9分!? 韓国・仁川空港の定時運航率が“世界最低レベル”との酷評を受ける)

また、近年の韓国では外国人観光客、とりわけ女性観光客のトラブルが増えているという。

オーストラリアでは、これまで「女性観光客にとって危ない国」ランキングのトップはインドだったが、最近は韓国の名が挙がるようになってしまったらしい。

(参考記事:外国人女性の被害続々…“女性観光客にとって危ない国”に落ちた韓国)

そういった韓国自体が抱える問題点を改善しない限り、外国人観光客が戻ってくるということはないというのが多くの専門家たちの分析だ。

10人中4人が日本に旅行

その一方で、韓国が旅行収支で過去最大の赤字を出したのは、海外旅行に出かける韓国人旅行者が増えたからという側面もある。

4/4ページ
前出の韓国銀行によれば、1月の海外出国者数は286万7000人。昨年1月と比べて22.4%も増加しているのだ。

「10人中4人は日本行き…海外旅行“日本大勢”が持続」(『MoneyS』)という記事があるように、韓国人の主な旅行先は日本だ。

2017年は日本を訪れる韓国人観光客が前年比40%増だったとも言われ、「東京で“虫テロ”に遭った」などと相対的にトラブルも増えたが、今年に入っても韓国における日本旅行人気は変わっていない。


いずれにしても、出ていく人が増え、入ってくる人が減っている韓国。今の状態が続くと、旅行収支は赤字のままであることは間違いない。対策が求められている。

(文=慎 武宏)

http://s-korea.jp/archives/31001