http://www.sankei.com/smp/politics/news/180413/plt1804130021-s1.html

 防衛省のシンクタンク・防衛研究所は13日、日本周辺の安全保障環境を分析した「東アジア戦略概観2018」を発表した。北朝鮮が昨年、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核実験を強行し、米本土や在日米軍基地を核攻撃すると威嚇したことを受け「第3次朝鮮半島核危機ともいうべき様相」だとし、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」強化の必要性などを訴えた。

 戦略概観では、北朝鮮は「米国の心臓部」を狙うICBMのほか、高い命中精度を目指す「終末誘導機動弾頭」の開発を進めているとの懸念を明記した。その上で、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備などのミサイル防衛(MD)能力の向上に加え、在日米軍基地の「抗堪(こうたん)性」強化が必要と主張した。

 北朝鮮への圧力を重視する日米両国と、対話を求める韓国の間に「一定の温度差」があるとも指摘し、日米韓が共同でMDや危機管理態勢を構築することが「離間を狙う北朝鮮の意図をそぐ」と強調した。

 昨年2月の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏の暗殺については「西側の自由への親近感」への警戒だとの分析を示した。

 不透明な軍拡を続ける中国については「世界一流の軍隊」を目指しているとし「空母艦隊の台湾周回や爆撃機の紀伊半島沖進出など新しい動きもみられた」と警戒を強めた。南シナ海での急速な埋め立てと軍事拠点化に関しては「海洋の安全保障の根本が揺らぐ」と批判し「航行の自由」の重要性を訴えた。

 今回の戦略概観は昨年12月末までの1年間の動向が分析対象で、今年の平昌五輪を契機とした北朝鮮の対応の変化は含まれていない。