17日からの米中通商協議で米政権は、中国側から巨額の対米貿易黒字の削減策を引き出した。
貿易不均衡の是正を公約とするトランプ米大統領は、11月の中間選挙を控え、対中交渉の「勝利」を有権者にアピールできる。
ただ、中国の知的財産侵害を問題視する米議会内には、短期的な不均衡是正を優先する政権の交渉姿勢への懸念も根強い。

 トランプ氏は同日、中国交渉団トップの劉(りゅう)鶴(かく)副首相と面会し、劉氏と握手して満面の笑みをみせた。
今月初旬、中国に2020年末までの2千億ドル(約22兆円)の不均衡是正を求めた米政権に対し、
1年で「2千億ドルの削減を提案した」(ロイター通信)中国は大幅な譲歩を示した格好だ。

 トランプ氏は13日、中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁を緩和する可能性を唐突に示唆。
中国が熱望する制裁解除に歩み寄る構えをちらつかせ、中国を米主導の交渉ペースに引きずり込むことに成功したようだ。

 トランプ氏は貿易赤字拡大が「雇用の海外流出を招いた」との見方から、不均衡是正を重視する。
中間選の予備選が本格化する中、米貿易赤字の約半分を占める中国から、巨額の不均衡是正策を勝ち取ったと訴える材料になる。

ただ、米議会では「中国が不公正取引を改めるのが極めて重要」(下院歳入委員会のブラディ委員長)などと、
中国の知財侵害をはじめ、米中貿易の根本問題の解決を求める声が与野党を超えて根強い。
当面の対中交渉で中国による米製品の輸入拡大策だけを優先すれば、政権の交渉姿勢への懸念が広がりかねない。

 米朝首脳会談を控えるトランプ政権としては、北朝鮮への働きかけを強める中国と、
貿易問題で決定的な対立を避けたい節もうかがえ、米中の通商交渉の行方を複雑化している。

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産経ニュース
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