東シナ海の日中中間線付近で中国が一方的に進めるガス田開発で、中国が移動式掘削船(リグ)を設置したことが28日、政府関係者への取材で分かった。装置は過去に中国が活用してきた浅海用とは異なり、深海で掘削が可能な半潜水型。日本政府が確認したのは初めてとみられ、新たな海洋プラットホーム構築につながる可能性があるとみて、動向を警戒している。
 複数の政府関係者によると、今回のリグ「KANTAN(カンタン)4号」は6月下旬、日中中間線の中国側に設置されているのが確認された。現時点で試掘は実施していないとみられる。外務省が中国側に「一方的な開発は認められない」と申し入れた。
 カンタン4号は、浮上したまま曳航(えいこう)され、目的地でタンクに水を入れて構造体を水中に半分程度沈める「セミサブマーシブル型(半潜水型)」。日本政府がこれまで周辺で確認した中国側のリグは、脚を海底に固定し構造体を海上まで上昇させて作業する「ジャッキアップ型」だった。
 半潜水型は深海での掘削が可能で、ジャッキアップ型と比べ、船体の揺れが少なく安定性が高いという。カンタン4号の最大稼働水深は約600メートルで、5月に近隣で確認されたジャッキアップ型リグ「カンタン7号」の同約120メートルを大幅に上回っているとされる。4号、7号は、ともに中国国有企業「中国石化上海海洋石油局」の所属だという。
 日本政府は中国側が半潜水型を投入した意図を分析。中国は、日本との協力合意をほごにして一方的な開発を進めており、日中中間線の中国側で16基のガス田掘削施設を設置。17基目となる海洋プラットホームの建造に向けて動きを加速化させる可能性がある。
 一方、海上保安庁は28日、沖縄県久米島町の硫黄鳥島から西132キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国海洋調査船「科学号」が無許可調査を実施したと発表した。
 周辺の海底には鉱物資源が存在しており、科学号は平成26年4月にも同海域で無許可調査を実施。当時、海底サンプルを採取したとされ、今回も科学的な分析を進める狙いがあるとみられる。
産経ニュース
2018.6.29 09:27
https://www.sankei.com/politics/news/180629/plt1806290010-n1.html