韓国の文在寅大統領が先頃、英BBCのインタビューで「非核化に取り組んでいる北朝鮮の努力に国際社会は応じるべきだ」と答えた。また、仏フィガロ紙の書面インタビューでは、「非核化がある程度の段階に達すれば、経済制裁を徐々に緩和することも検討すべきだ」と、相変わらずの北朝鮮擁護論を展開した。

 二度目の米朝首脳会談を前に、双方の詰めが難航していることからも推察できる通り、北朝鮮が本気で非核化に踏み出したことは何一つ確認されていない。一連の文大統領の発言は、北朝鮮に非核化を迫る国際社会の連携を乱すものでしかない。

「文大統領は北朝鮮の金正恩党委員長と三度の首脳会談をこなしてきましたが、それぞれの会談では側近を外させ、2人だけで長時間話しています。その内容はこれまで公表されたことはなく、2人だけの秘密です。国連総会では、参加しない正恩委員長に代わって、その意向を世界に向かって発信しています。文大統領は、完全非核化を見届ける前であっても、北朝鮮が体制保証に向け要求している『終戦宣言』や『制裁解除』に応じれば、それがゆくゆく非核化を促すと考えているようですが、あまりにも楽観的と言えるでしょう。北への融和政策を取り、結局、北朝鮮の核・ミサイル開発を推進させてしまった金大中、盧武鉉両政権から何も学んでいないのです」(北朝鮮ウオッチャー)

 逆に言えば、正恩委員長は文大統領を“伝書鳩”のように西に東に飛ばし、自身の政治的メッセージを伝えているともいえる。正恩委員長から特に苦情が出ていないところを見ると、文大統領はクソマジメに伝書鳩役を務めていると評価しているのだろう。

「米大手総合情報サービスの『ブルームバーグ』が、文大統領を『北朝鮮の首席報道官』と報じたのに、青瓦台(大統領府)からは反発する声明が出ていません。盧大統領でさえ、こうした報道には強く反発していました。たとえ国際社会で韓国の大統領が北朝鮮の立場を代弁したと見られようとも、今や文政権は『それがどうした』と突き返すほど北との一体感に至福の喜びを持ったということなのです」(国際ジャーナリスト)

 国際社会が北朝鮮に対し、依然として制裁を含む圧力が必要だと示すのは、先に制裁を緩和して終戦宣言に応じれば、非核化を迫る重要なカードを失ってしまうからだ。

本来なら文大統領は、5回も核放棄の合意を反故にしてきた“隣人”を、最も説得すべき立場であるはずだ。

「10月10日、さらなる北への経済制裁の可能性を記者団から聞かれたトランプ大統領は、繰り返し三度も『韓国は米国の承認なしに何事もできない』と念を押しています。これは“米国の承認なしに動くな”という外交的な表現であることから、公開の席で“韓国は言うことを聞け”と叱ったことになります」(同)

 米側がとりわけ怒ったのが、去る9月の南北首脳会談で交わされた軍事分野合意文書についてだ。

「この合意により軍事境界線から南北40キロ以内が飛行禁止区域に指定され、空からの偵察ができなくなりました。北は休戦ライン周辺に100万を超える兵力と1100門以上の長射程砲を設置しています。戦術偵察機の探知範囲が制限を受けることになれば、米軍は目隠しされたも同然なのです」(軍事ジャーナリスト)

 日本の横田基地に配備されたオスプレイは特殊部隊潜入用で“正恩斬首作戦”出動の可能性も指摘されているが、韓国がこれを封じている格好なのだ。

https://wjn.jp/sp/article/detail/4008106/
週刊実話 2018年11月01日 20時00分