(朝鮮日報日本語版) 性をデザイン化、TENGA松本代表の思い
11/22(木) 11:03配信
朝鮮日報日本語版

 いったい何に使う商品だろうか。大きな印鑑のようでもあり、化粧品の容器にも見える。世界的なポップアーティスト、キース・ヘリングのイラストも入っており、小型のスピーカーのような形をしているものもある。日本のアダルトグッズブランド「TENGA」の商品だ。

 TENGAはモダンなデザインで世界的なブームを巻き起こしている。2005年に日本で発売が開始され、1年で100万個が売れ、昨年には全世界で1000万個以上を売り上げた。ドイツの有名なデザイン賞である「レッド・ドット・デザイン賞」を6回受賞し、各国のデザイン博覧会にも毎年出展している。日本を訪れる海外旅行客の買い物リストにも登場する商品だ。デザインに魅了された消費者が大半を占める。

 韓国での発売2周年を迎え、ソウルを訪れたTENGA創業者の松本光一代表(51)のストーリーは興味深いものだ。松本代表は日本のバブル経済期に自動車整備工として働いていた。ランボルギーニ、フェラーリなどのスーパーカーのチューニングをしていたという。そうしていて、「まだ世の中にないメード・イン・ジャパンを作ろう」と思い立ったという。松本代表は「通りにある店という店を見て回っていて、アダルトグッズ店で『何かが間違っている』と感じ。店内にはヌードや性器をまねた粗悪な商品しかなかった。性というのは汚いものだから、汚れた気分で使ってくださいとでも言うのか」と話した。

 松本代表は朝6時から未明の2時まで作業室にこもりっきりで開発に没頭した。水筒、シャンプーの容器、おもちゃのトンカチなどに着眼し、商品をユーモラスにデザインした。そこには「性器を対象としない」というデザイン原則があった。松本代表は「単純に美しくてしゃれているだけでなく、『性を陰から陽へと引き上げる』という理念を反映しようとした。社名のTENGA(典雅)も日本語で『整っていて美しい』という意味だ」と説明した。

 2012年に発売した「TENGA 3D」はシリコンに幾何学的な立体パターンを採用し、「もはやインテリアだ」と評された。13年に発売した「iroha(イロハ)」は女性のための商品だ。松本代表は「既存の商品は女性用であっても男性の趣向ばかりが反映されていた。irohaは開発陣全員が女性だ」と話した。パステル色でオカリナや小石を連想させる外観で、色や形によるモデル名も「抹茶」「ゆず茶」「雪だるま」などと名付けた。

 松本代表は「アダルトグッズを生活用品の一つと定義したい」と語った。高齢者や障害者の性の問題にも関心を持っている。NHKは今年5月、ある高齢者介護施設が高齢者の性欲による問題を解決するため、TENGAの商品を導入したと報じた。障害者の性生活を支援する市民団体や性教育団体も後援し、性機能傷害の解決に特化した製品も開発している。松本代表は「性は美しいものだ。若者だけでなく、誰でも幸せな性生活を送れるように助けたい一心だ」と話した。

 韓国でTENGAの商品は主にインターネット通販や雑貨店で販売されてきたが、来年後半には公式店舗もオープンする計画だ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181122-00080027-chosun-kr