2/1(金) 17:54配信

 【ニューヨーク=上塚真由】米連邦地検は1月31日、出産のために米国にくる中国人妊婦らにビザ(査証)の違法取得を指南したり、マネーロンダリング(資金洗浄)を行ったりしたとして、ロサンゼルス周辺で出産ビジネスを営んでいた中国人ら19人を訴追したと発表した。

 中国の富裕層を中心に近年、子供に米国籍を与えるため米西海岸などに渡る妊婦が急増し、業者も増えて社会問題化していた。米メディアは「バース・ツーリズム(出産旅行)に対する過去最大の取り締まり」と報じている。

 捜査は、連邦捜査局(FBI)や国土安全保障省などと合同で実施。検察当局によると、19人のうち3人を31日に逮捕、国外などに逃亡した16人を起訴した。

 検察当局は2015年3月に妊婦らの滞在先など数カ所を捜索し、捜査を進めてきた。発表などによると、業者らはビザ申請時の虚偽説明の仕方や、入国審査の際には腹部が目立たない服を着ることなどを指南。入国審査が緩いハワイ経由での入国を指示し、富裕層の観光客と信じ込ませるため、トランプ米大統領の名前を冠したハワイの高級ホテルを滞在先として申告することを勧めていたという。料金は4万ドル(約440万円)〜8万ドルが相場で、中には約10万ドルを受け取る業者もあった。米当局者は「米国の生活様式は売り物ではない」と述べ、業者らを批判した。

 米国では、出生地に基づいて国籍が付与される「生得市民権」が憲法で保障されており、トランプ氏は昨年10月、廃止を検討すると表明。生得市民権の廃止は実現困難とみられるが、出産ビジネスへの取り締まりは強化される可能性がある。

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