韓国の国土交通部(省に相当)、公正取引委員会、中小ベンチャー企業部など経済関連6官庁は7日、今年の業務計画を発表した。これら官庁は国務総理室(首相室)に業務計画書を提出し、首相が3月中旬以降に大統領に報告を行うという。通常は1月に行う新年の業務報告が3月まで遅れたのもおかしいが、対面報告ではなく、書面報告の形式を取るのも例がない。政府の業務で経済や市民生活よりも重要なものがあるというのだろうか。

報告書には官庁ごとに30件から200件の細かい政策案が盛り込まれている。第4次産業革命、大企業に対する規制など大規模な政策から高齢者・青年に対する金融支援、零細事業者支援対策に至るまで国民生活に大きな影響を与える問題はたくさんある。ところが、これら政策について、大統領に直接説明を行い、対話しようとする閣僚は一人もいない。6官庁が同じ日に一斉に発表した政策をまともに理解する国民はどれほどいるだろうか。

前日には企画財政部が大統領報告を行った。生産、投資、雇用のてこ入れなど重要な政策が含まれている。しかし、経済副首相すら大統領に会えず、書類提出だけで済ませた。企画財政部の書面報告は既に発表した対策の焼き直しばかりだ。これまで文在寅(ムン・ジェイン)大統領が対面で報告を受けたのは、昨年下半期の内閣改造で閣僚が交代した教育部、国防部、環境部、雇用労働部など7官庁だけだ。国民の生活問題を担当する経済官庁の大半は対面報告から除外された。

経済協力開発機構(OECD)は7日、韓国の経済成長率予測値を当初の2.8%から2.6%に引き下げた。信用格付け会社のムーディーズは2.1%という衝撃的な予測を発表し、雇用の悪化は「最低賃金引き上げによるところが大きい」と指摘した。企業の活力が低下し、上場企業の売り上げが減少している。強硬な労働組合は自分たちの天下が訪れたかのように振る舞っている。

貧困層の勤労所得は37%減少した。目を疑いたくなる数字だ。自営業者は生死の分かれ道に立っている。全て現政権が行った経済実験の結果だ。自分たちの過ちで経済のあらゆる分野に警告ランプがともっているにもかかわらず、責任者である大統領が報告も受けていない現実を国民はどう理解すべきなのか。おかしな実験で経済が崩壊すると、それは見たくないと目をそらしているのだろうか。到底納得できない。

大統領は閣僚と随時顔を合わせ、経済に活力を吹き込む抜本的な解決策を探るべきだ。馬車が馬を引っ張るような所得主導実験からして中止すべきだ。あらゆる問題を税金のばらまきで解決するやり方も変えなければならない。理性を失ったポピュリズムも中断すべきだ。ところが、現政権は政策見直しを「負け」と考える。国民の声を聞き、国民に負けることも嫌うのだとすれば、民主的な政府と言えるだろうか。


2019/03/08 09:31
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