韓国与党、文大統領を批判したブルームバーグ記者を実名で攻撃
ネットユーザーからの記者攻撃も相次ぐ
外信記者「記者への個人攻撃、フセイン時代のイラクにもなかった反民主的行為」

韓国与党「共に民主党」が、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は金正恩(キム・ジョンウン)氏の首席報道官」と表現した昨年9月の米国ブルームバーグ通信の記事について、記者個人の経歴まで持ち出して批判した。これは、12日に韓国野党・自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表が国会での演説でこの記事を引用したことが発端となった。ナ院内代表は「大統領が金正恩氏の首席報道官になったなどという恥ずかしい話が聞こえてこないようにしてほしい」と述べ、これに対し「共に民主党」の議員らが大声で抗議して演説が30分以上中断した。「共に民主党」は1988年に廃止された「国家元首冒とく罪」に言及し、ナ院内代表を国会倫理委員会に提訴した。

 しかし、共に民主党よりも先にブルームバーグ通信の記者に対する個人攻撃を始めたのは、一部の与党系メディアだった。あるネットメディアは13日午前「(問題の記事は)かつて聯合ニュースやAP通信などでIT・ビジネス関連記事を担当していた韓国人の記者が書いたものだ」と実名を挙げて指摘した。その上で「(この記者が)取材はしたものの、自分の考えを(記事の)1行目に入れ、これをデスク(編集者)がさらに強調して悪意ある題名を付けた」と続けた。同日午後、別のネットメディアも記者の実名を挙げ「(ネットユーザーたちが)記者の経歴や過去記事を列挙して、その政治性向に対する非難を続けている」と書いた。

 文大統領を支持するネットユーザーたちも、ブルームバーグ通信の記事をネット上で攻撃した。記者のツイッターアカウントには「若いくせに保守性向の高齢者を卑下する」「ナ・ギョンウォンと安倍首相の養女」「外国通信社に勤務する黒髪の外国人」など、人格攻撃型の書き込みが17日までに100件以上寄せられた。昨年9月にこの記者がイム・ジョンソク大統領秘書室長(当時)に対し「北朝鮮が核リストの申告・検証に応じるためにどのように説得するのか答弁してほしい」と質問した際の動画に、「生意気なX」と悪意あるコメントを付けて投稿するケースもあった。記者の写真や出身校、勤務歴などを調べ上げて投稿するユーザーもいた。

 しかし、外信記者たちは、ブルームバーグ通信の記事の内容に問題があったとの主張には懐疑的だ。ある米国メディアのソウル特派員は「『黒い髪』の外信記者が書いた記事は外信記事ではない」、という主張について、米国のメディアシステムを何も分かっていない」として「記事の方向性やテーマ、題名の選定は、英米圏の中堅エディターと共に熟考したものだ」と話した。別の外信記者は「文大統領を批判する記事を書いたからといって、その記事を書いた記者を個人攻撃し、根拠もないまま陰謀論を展開するのは、サダム・フセイン時代のイラク国内でも見られなかった反民主的行為」と指摘した。ある欧米系通信社の記者は「文大統領が昨年、欧州で『対北朝鮮制裁の緩和に力を貸してほしい』と訴えたとき、欧州の首脳たちにそっぽを向かれたが、その時から外信記者の間では、文大統領について『まさに金正恩氏の報道官、あるいは弁護士のようだ』との言葉が広まっていた」として「ブルームバーグ通信の記事の題名は目新しいものではなかった」と話した。

キム・ギョンピル記者 , キム・ウンジュン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/03/17/2019031780027.html
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/03/17 23:11