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▲北海道礼文島の船泊遺跡で見つかった人骨やDNAの分析結果から、推定し復元した縄文人女性の像(国立科学博物館提供)

 北海道礼文島の縄文時代の遺跡で見つかった女性の人骨から、ゲノム(全遺伝情報)を高精度に解析することに成功したと、国立科学博物館などの研究チームが13日発表した。女性は茶色の瞳を持ち、肌の色は濃いめで、酒に強かったとみられるという。縄文人の起源や特徴の解明につながる成果で、論文が近く学術誌に掲載される。

 解析したのは、約3800〜3500年前(縄文時代後期)の船泊ふなどまり遺跡から出土した女性の人骨。奥歯の中に保存状態のいいDNAが残されており、現代人のDNAと同程度に解析できた。

 遺伝子の特徴から、女性の肌はシミができやすく、耳あかに湿り気があり、髪の毛は細く縮れていたとみられる。船泊の縄文人は脂肪が多いアシカなどを食べていたとみられ、高脂肪食に適応した遺伝子変異も見つかった。

 さらに、現代日本人が縄文人のゲノムの約10%を受け継いでいたことも判明。東アジアでは、大陸にいる漢民族より韓国、台湾、フィリピンにいる人に近いという。同チームは「縄文人は、弥生時代以降に大陸から渡来した人と混じり合ったと考えられている。今後、弥生人などのゲノムと比較し、現代日本人の成り立ちを解明したい」としている。

 木村亮介・琉球大准教授(人類学)の話「今回の成果は、従来の縄文人のゲノム解読結果に比べて精度が高く、縄文人の起源や現代に続く系譜に迫ることができると期待される」

ソース:読売新聞<茶色の瞳、酒強く…礼文島の縄文女性ゲノム解析>
https://www.yomiuri.co.jp/science/20190513-OYT1T50209/