■トランプ大統領訪韓前に頭抱える韓国政府
■中国のTHAAD報復時は少なくとも7860億円の被害
■外交識者「今回の方がはるかに強い報復」

米国政府が韓国政府に「ファーウェイ(華為技術、Huawei)ボイコット」に参加するよう要求したことから、韓国が米中の「板挟み」になるのではとの懸念が広がっている。

韓国政府は米国の要求に対してひとまず、「ファーウェイと韓国の民間企業の間の取引に介入するのは難しい」という原則的な見解を示したが、トランプ政権の勢いからすると、現在の姿勢を維持することができるかどうかは未知数だと見られている。

米国の「インド・太平洋戦略」に協力する日本やオーストラリアなどが「反ファーウェイ戦線」に参加する中、米国が「同盟国」韓国政府を相手に「味方になれ」と圧力を加える可能性が高いということだ。

このほどワシントンを訪問した外交消息筋は「ファーウェイに対する韓国政府の見解や、(ファーウェイ社の通信機器を使っている)LGについて聞く人が多かった。米国側が強固な同盟の尺度をもってこの問題を追求してくる可能性もある」と語った。

だからといって米国の要求に応じれば、その後に予想される中国側の反発が無視できなくなる。韓国の中国向け輸出の割合は米国・欧州連合(EU)・日本を合わせた割合よりも多く、韓国経済における中国の依存度はかなりの水準に達している。

2017年に韓国は中国に対し1421億ドル(約15兆6700億円)相当を輸出し、輸出全体の24.8%を占めた。

外交消息筋は「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備の報復時、中国は米国の代わりに「弱いつながり」である韓国をたたいた。今回の事案で中国の報復措置はTHAAD配備時よりもはるかに強まる可能性が高い」とした。

現代経済研究院は、THAAD報復の影響で2017年の1年間に韓国が受けた直接・間接的被害を最小で8兆5000億ウォン(約7860億円)と推算している。

予定されている外交日程でも韓国政府は頭を痛めている。来月末にドナルド・トランプ米大統領の訪韓が予定されており、韓国政府では同時期に韓中首脳会談の開催も進めている。

北朝鮮の非核化交渉の膠着(こうちゃく)状態を解くため、米国と共に知恵を絞らなければならず、中国には北朝鮮に対する役割を注文・説得しなければならない状況だ。

元国家情報院第1次長の南柱洪(ナム・ジュホン)氏は「非核化の方法論をめぐって亀裂が入った米国との関係修復や、地政学的に近い中国との関係維持に努めなければならないのに、ファーウェイ問題が重なれば韓国の立場は難しくなるかもしれない」と語った。

峨山政策研究院安保統一センターの申範K(シン・ボムチョル)所長は「THAAD問題時、韓国は当初から『安保事案』と規定して一貫性を示さなければならなかったが、板挟みになって右往左往しているため見くびられている所もある。ファーウェイの件でも韓国の基準をはっきりとさせ、米中両国の圧力から逃れる『すき』を見いださなければならない」と語った。


2019/05/23 09:30
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