韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決をめぐり、日本政府が要請している日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置が見通せない。韓国政府が18日の期限までに仲裁委員の任命に応じない方針を固めたためだ。韓国外交省関係者が明らかにした。

韓国外交省関係者によると、日韓請求権協定では仲裁委員会の設置について外交ルートで解決できなかった場合と規定していることから「外交協議も終わっておらず、設置は不適当」と判断したという。

日本政府は1月9日、協定に基づく協議を要請。5月20日には、韓国政府が4カ月以上たっても協議に応じないことなどから、日韓と第三国による仲裁委員会の設置を求めた。

一方、韓国側は協議の要請に対して「検討中」という立場を繰り返してきた。今後も同様の考えを伝えていくとみられる。

韓国が期限内に仲裁委員を任命しない場合、協定では第三国が指名した委員のみによる仲裁委を設置する手続きを定めている。ただ、外務省幹部は「第三国が決めた委員ではなく、日本がすでに任命している委員で仲裁委を開きたい」と述べ、期限が過ぎても韓国に任命を求め続けていく考えを示した。

また、複数の日本政府関係者によると、河野太郎外相は5月に訪問先のパリで康京和(カンギョンファ)外相と会談した際、「外相間の協議の継続は重要だ」と呼びかけ、康氏が同意した。6月28〜29日に大阪市で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて外相会談を開く方針も確認したという。

だが、G20に合わせた首脳会談については、韓国側が仲裁委員会の設置に応じていないことから、いっそう難しくなっている。首脳同士が接触したとしても、短時間か立ち話程度で終わる可能性が高い。


2019年6月12日05時00分
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14052158.html?rm=150