韓国最高裁が日本企業に元徴用工への賠償を命じた判決を巡り、日本政府は21日、差し押さえられた日本企業の資産が売却された場合、対抗措置とは別に韓国政府に賠償を求める方針を固めた。外務省幹部が明らかにした。日本側は賠償とともに、立法措置などによる判決の無効化も求める方向だ。

日本政府は、昨年10月の韓国最高裁判決が「(賠償などの)請求権の問題は完全かつ最終的に解決された」とする1965年の日韓請求権協定に違反すると主張している。

 資産売却で日本企業に損害が生じた場合、「国際法違反を是正しなかった韓国の国家責任」を問い、企業の損害額に応じて国家間で賠償を求める方針だ。国際法違反行為に関する国家の損害賠償義務は、2001年に国連国際法委員会が採択した国家責任条文で明文化された。

 日本側は資産売却への対抗措置として、韓国産品への関税引き上げや韓国人への査証免除の厳格化などを検討している。ただ、日本側も対抗措置の応酬は望んでおらず、請求権協定に基づく仲裁に応じるよう韓国政府に求めている。

 元徴用工訴訟を巡り、原告側は今年5月、日本製鉄(旧新日鉄住金)や不二越が保有する約17億3500万ウォン(約1億6000万円)相当の株式資産売却を申請し、裁判所で手続きが進んでいる。原告側は「手続きは3カ月以上かかる」と説明しており、早ければ8月にも資産が売却される可能性がある。【秋山信一】

https://mainichi.jp/articles/20190621/k00/00m/010/251000c
毎日新聞 2019年6月21日 19時58分(最終更新 6月21日 21時30分)