石油を北朝鮮に密輸したのを摘発され、台湾政府から制裁を受けた台湾の実業家が飛び降り自殺を図り死亡した。台湾紙、聯合報などが24日報じた。

 報道によると、死亡したのは海運会社、ビリオン・バンカー・グループの実質的経営者、陳世憲氏(54)。陳氏は22日午前、台湾南部の高雄市塩テイ区内でマンション6階の自宅から飛び降り死亡した。会社を英領バージン諸島、マーシャル諸島に登記している陳氏は2017年、会社所有の船舶で香港に石油を輸出するように虚偽の書類を作成し、台湾東沖の公海上で北朝鮮の船舶に石油を積み替えたとして起訴された。陳氏は裁判で合計で石油2万8000トン余りを北朝鮮側に不正輸出した事実を認めていた。

 台湾法務部(法務省)は昨年1月、テロ組織財政支援防止法を初めて適用し、陳氏の会社資金を凍結するとともに、陳氏の出国と金融機関取引を禁止する制裁措置を取った。高雄地裁は今年5月、陳氏に119日の拘留と罰金35万7000台湾元(約124万円)、執行猶予2年の判決を言い渡した。

 台湾当局の捜査は2017年末、ビリオンが使用していた船舶「ライトハウス・ウィンモア」が北朝鮮の「サムジョン2号」という船舶に石油600トンを不正に積み替えたのを韓国当局が摘発したことがきっかけとなった。陳氏の北朝鮮への石油不正輸出には中国の仲介業者が介入していたとされる。

 陳氏は「中国政府に濡れ衣を着せられた」と主張し、資産凍結措置を受けた昨年1月にも睡眠薬自殺を図り、未遂に終わった。

 台湾は国連に加盟していないが、2017年9月から北朝鮮との貿易を全面禁止し、国連安全保障理事会による対北朝鮮禁輸品目の密輸取引に関与した人物に対する捜査や制裁を実行している。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190625-00080012-chosun-kr
6/25(火) 9:20配信 朝鮮日報記事