意外と知られていない北朝鮮「瀬取り」
監視実態の主体は朝鮮国連軍

 国連安保理決議により禁止されている北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対して、関係各国が緊密に協力し、国連安保理決議の実効性を確保する取組みを行っている。

 日本と米国が、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器およびあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄の実現に向け、国連安保理決議を完全に履行する必要があると考え、その取組みに参加しているのは当然である。

 さらにこの活動は、日米の2か国にとどまらず、積極的な協力を惜しまない他の関係国によって支えられている。

 外務省の報道発表によると、これまで北朝鮮の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対する航空機・艦艇による警戒監視活動に参加した国は、下記の通りである。

手段参加国

航空機による警戒監視活動:オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、フランス

艦艇による警戒監視活動:オーストラリア、カナダ、英国、フランス

合計:以上5か国に日米を加えた7か国

 ここで振り返っておきたいのは、1950年6月25日の朝鮮戦争の勃発に伴い、同月27日の国連安保理決議第83号および7月7日の同決議第84号に基づいた創設された朝鮮国連軍(以下、国連軍)についてである。

 国連軍は、国連の諸決議に従って国連加盟国が自発的に派遣した部隊から構成されたものであり、現在でも朝鮮半島の平和と安全の保持のため重要な役割を果たしている。その構成国は、下記の18か国である。

国連軍参加国:

オーストラリア、ベルギー、カナダ、コロンビア、デンマーク、フランス、ギリシャ、イタリア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、フィリピン、韓国、南アフリカ、タイ、トルコ、英国、米国

国連軍は、朝鮮戦争の勃発当初、同司令部を東京に置いた。

 1953年7月の休戦協定成立を経た後、1957年7月に国連軍司令部がソウルに移されたことに伴い、日本に国連軍後方司令部が設立された。

(なお、同司令部は、当初キャンプ座間に置かれたが、2007年11月に横田飛行場に移転した)

 現在、在韓国連軍は、国連軍司令部本体と同司令部に配属されている軍事要員からなっており、在韓米軍司令官エイブラムス陸軍大将が国連軍司令官を兼ねている。

 日本の横田飛行場に所在する国連軍後方司令部には、ウィリアムス司令官(オーストラリア空軍大佐)ほか3人が常駐しているほか、下記9か国の駐在武官が国連軍連絡将校として在京各国大使館に常駐している。

在京大使館常駐の国連軍連絡将校:

オーストラリア、英国、カナダ、フランス、イタリア、トルコ、ニュージーランド、フィリピン、タイ

 これら国連軍が日本に滞在する間の権利・義務その他の地位および待遇を規定する必要が生じ、1954年6月に締結されたのがいわゆる「国連軍地位協定」である。

 この協定第5条に基づき、キャンプ座間、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、横田飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場、ホワイトビーチ地区(沖縄県うるま市)の7か所の在日米軍施設・区域が国連軍の使用に供されている。

 外務省の報道発表によると、北朝鮮の「瀬取り」警戒監視活動に参加した米国のほか関係国の航空機は、国連軍地位協定に基づき、在日米軍嘉手納飛行場を拠点としてその任に当たったことが明らかにされている。

 同じように、艦艇も、横須賀や佐世保海軍施設に寄港した。

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JBPRESS 2019.7.10(水)

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