これまでも、韓国では反日の気運が盛り上がるたびに日本製品不買運動が何度も繰り返されてきた。それらに韓国人が本気で取り組んできたなら、とうに日本製品が韓国市場から放逐されていてもおかしくない。が、現在も日本製品は韓国社会のあちこちに存在する。今回の不買運動もまた、そうした“矛盾”や“いい加減さ”に満ちている。

 著書『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)が話題の韓国人作家・崔碩栄氏が指摘する。

「8月4日の韓国KBSのニュース番組で、番組終了間際、キャスターがハッと気づいたかのように胸ポケットからボールペンを取り出し、『このボールペンは国産です。これでニュースを終わります』と発言しました。今回の不買運動を支持しているというパフォーマンスのつもりでしょう。ただ、キャスターのボールペンは韓国製かもしれませんが、それを映したテレビ局のカメラはほとんどがソニー製です」(崔氏、以下同)

 ボールペンは韓国製で代替できるが、テレビ放送は日本製を使わずにはできないから、そこは目をつむるというのだろうか。しかも、韓国製では代替できない日本製カメラが使われているのはテレビ局に限らない。

「日本製品不買を訴えるデモやパフォーマンスを取材中の報道カメラマンが、キヤノン製のカメラを使っていたのです。カメラマンは身の危険を感じたのか、『Canon』のロゴに養生テープを貼って隠していた。だけど、その横の『EOS』のロゴはむき出しだったので、一見してキヤノン製だとバレてしまう(笑)」

 事実、韓国のプロカメラマンの多くがキヤノンやニコン、ソニーの一眼レフを愛用している。もし、本気で「日本製品不買」に取り組むなら、韓国を代表するサムスン製のプロ向けミラーレス一眼に替えてもよさそうなものだが、そうはなっていない。

◆「日本ボイコット」旗を印刷した日本の高性能プリンター

 8月5日、ソウル市中区のソ・ヤンホ区長は、日本の輸出管理強化措置に抗議して、「NO/BOYCOTT JAPAN」という運動のシンボルをデザインした垂れ幕1100本を区内の通りに掲げると発表し、翌6日に設置を開始した。が、区のホームページにはソウル市民から批判が殺到。数時間後には撤去するという騒動があった。

「『韓国が好きでやってくる日本人がこれを見てどう思うか』といった抗議があったようで、常識的な市民が多くて嬉しくなりました。

 それはそれとして、この垂れ幕が非常に美しい仕上がりで、調べたところ日本の武藤工業製の印刷機『バリュージェット』で印刷されたものであることが判明した。印刷業界関係者によると、垂れ幕に印刷できるプリンターは韓国製品にはないそうです」

 プリンターの性能を評価されるのは嬉しいことだが、印刷された内容が「日本ボイコット」では、メーカーの心中は複雑だろう。

 一方、日本政府を激しく非難し、日本製品不買運動を黙認、あるいは支持する韓国政府の閣僚や高官が、日本製の自動車やバイクを愛用していることが判明した。

「韓国では、閣僚やハイクラスの官僚は財産公開が義務づけられています。韓国の週刊誌記者が公開情報をもとに調べたところ、文在寅政権になって任命された閣僚や官僚の多くが日本車を所有していて、特にレクサスの人気が高いことがわかりました。日本の河野太郎外相と厳しく直接対峙する韓国の康京和外相の場合は、夫がホンダ製オートバイCB400SFを所有していた。

 私は、それら韓国の要人が日本車を愛用しても何の問題もないと思います。不思議なのは政権中枢にいる人々に対して、メディアや市民から批判の声が全然上がらないことです。韓国で日本不買運動を主導している人々がどんな背景を持っているのか、透けて見えてくるようです」

 文在寅政権周辺には、韓国の左派の市民運動出身者が多数いると指摘されている。彼らは歴史問題などにおける反日姿勢も明確だ。日本によるホワイト国除外などの対韓国輸出管理強化については、「日本の経済報復だ」と官民挙げて批難している。今回の不買運動を主導・先導する市民勢力と連動していても、不思議ではない。

●取材・文/清水典之(フリーライター)

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8/8(木) 16:00配信 記事元 NEWSポストセブン