韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことを受け、元陸将の用田和仁(もちだ・かずひと)氏が夕刊フジのインタビューに応じた。朝鮮半島が「赤化統一」し、親中国家を出現すると想定し、「日本は自由主義陣営の最前線として、対馬海峡などに新たな防衛ラインを引き、朝鮮半島と向き合うべきだ」と提言した。

 用田氏は、1952年、福岡県生まれ。防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に任官。統合幕僚監部運用部長や、第7師団長などを経て、西部方面総監を最後に退官した。

 韓国のGSOMIA破棄について、「まさか、そこまでやるかと、強い衝撃を受けた」といい、続けた。

 「文政権は『従北・親中』派で、中国や北朝鮮がもくろむ日韓分断工作に乗った。『反日』だけでなく、いずれ『反米』の本性も現し、中華思想の下で中国と運命を共にすることになるだろう。韓国国民は早く目覚めない限り、自由主義陣営に後戻りできなくなる」

 米国はどう動くか。

 「ドナルド・トランプ政権は、日韓を仲立ちして締結させた協定の効力をわずか3年で失い、メンツをつぶされた。これまでは、対中国シフトで北朝鮮をおとなしくさせ、朝鮮半島では波風を立たせずにきたが、状況が大きく変わった。米韓同盟が5年以内に終わる可能性もある。冷戦期の1950年に米国務長官が提唱した『アチソン・ライン』が復活する」

 アチソン・ラインとは、朝鮮半島と日本の間の対馬海峡などを、共産主義圏との防衛上、守るべきラインと考えたものだ。

用田氏は「日本を仮想敵国とする、『核を持った統一朝鮮』の出現に備えて、いまのうちに、長崎県・五島列島→同・対馬→島根県・隠岐諸島→新潟県・佐渡島→北海道へと伸びる『新たな防衛ライン』を引く。そのうえで、対馬など、個別に自衛隊の部隊の配備を強化し、海洋進出を図る中国を念頭にした南西諸島並みに抑止力を高めるべきだ」と警鐘を鳴らす。

 元寇直前に匹敵する、国家存亡の危機といえる。秋の臨時国会は、憲法改正も含めて、日本の防衛戦略を徹底的に議論しなければならない。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190827/pol1908270002-n1.html
夕刊フジ 2019.8.27