島の所有権・安全保障論争が起こるや、国防部は近くの島へ記者団を連れていって釈明

「レーダーは商船・漁船が使う航海用…海岸砲疑惑も建設現場を誤解」

専門家「軍が運用すれば軍事用…レーダー電波の強度、方向は調整できる」

 24日午前、仁川市江華郡西島面のマル島。韓国軍の観測所から望んだ「論争の島」咸朴島には人民共和国旗が翻っていた。マル島は咸朴島から9キロ離れているが、咸朴島に設置された北朝鮮軍の建物は肉眼でも見えた。望遠鏡には、北朝鮮軍の施設がはっきりと現れた。鉄塔と2階建ての建物が見えたが、韓国軍関係者はこれを「探知範囲が40キロ前後のレーダー施設」だとした。北朝鮮軍兵士の幕舎や太陽光発電の施設も見えた。マル島の住民らは「9・19軍事合意の後もこんなことが起こるので不安」と語った。

■北朝鮮の軍事施設、肉眼で識別

 韓国国防部(省に相当)は24日、咸朴島論争を解消したいとして記者団をマル島に招いた。そうして日帝時代の地図まで持ち出し、「咸朴島は北朝鮮領」であることを強調した。韓国軍関係者は「日帝時代の地図を見れば、黄海道と京畿道の境界線にある咸朴島は黄海道に属する」と語った。1953年の停戦協定締結当時の地図も示し「咸朴島が黄海・京畿の道境線より上にあることは明白」と説明した。

 韓国軍はこの日、咸朴島には北朝鮮軍の監視施設とおよそ30人規模の宿営幕舎、レーダーがあることを認めた。韓国軍の消息筋は「北朝鮮軍が咸朴島に土や装備を運び込み始めた時期は2017年5月上旬」と語った。朴槿恵(パク・クンへ)前大統領弾劾で繰り上げの大統領選が行われたころだ。韓国の政情が慌ただしい隙を突いて、北朝鮮が西海北方限界線(NLL)の鼻先にある無人島を軍事基地化したのだ。

 だが韓国軍は、咸朴島のレーダーについて「軍事用ではなく、一般商船や漁船に積まれている航海用」だとした。仁川空港がレーダーの範囲に入るが、離着陸する飛行機は監視できないという趣旨だった。だが予備役将官のA氏は「非軍事用レーダーでも軍が運用すれば結局は軍事用」だとして「レーダーの電波の強度や方向を調整して探知対象を変える可能性を排除できない」と語った。

また、北朝鮮軍は咸朴島で独自の太陽光発電を行っているが、海岸砲・放射砲(多連装ロケット砲)を配備できる条件ではない、と韓国軍は説明した。韓国軍関係者は「一部で、咸朴島の海岸砲の砲門が開放されたとしているが、切り開いた土地に宿営施設を作るので平坦化の作業を要し、地盤の支えを立てるとき、これが穴に見えて誤解したらしい」と語った。韓国軍内外では「不適切かつ不必要な説明」だという指摘がなされた。偽装や欺瞞(ぎまん)戦術にたけている北朝鮮軍の本当の意図をきちんとつかむことが優先、というわけだ。

■「9・19合意後もこんなことが…」

 マル島で暮らすおよそ10世帯の住民およそ20人は、咸朴島の軍事施設が公開された後、不安に震えていると語った。ホン・グンギ里長(58)は「現在、住民らは全く同じ(不安な)気持ち」だとして「ここには避難ルートもなく、船もない」「(国防部では脅威ではないと言ったが)9・19軍事合意以降もこういうことが明らかになるので不安な気持ち。住民らの多くは6・25戦争(朝鮮戦争)を経験した方々で、不安な気持ちを私に訴えている」と語った。

 韓国軍はこの日、咸朴島の施設について「北側は木箱地雷事件が発生した2015年以降、NLLの北側地域の無人島で監視基地化作業を行ってきた」としつつ「咸朴島のレーダー配備は監視基地化作業との連携性の上で理解すればいい」と語った。咸朴島を巡っては「仁川市江華郡西島面マル島里サン97」という韓国の行政住所が付与されている事実が最近になって判明し、論争になっていた。

江華=国防部共同取材団

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/09/25/2019092580055.html
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/09/25 10:40