23日午前0時に終了するはずだった韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は、日本と輸出規制問題を話し合うことを条件に、当分の間延長されることになった。だが、青瓦台と文在寅(ムン・ジェイン)大統領が日本に輸出規制措置を撤回させるためのカードとして切ったGSOMIA破棄は、日本の確実な譲歩を得られなかっただけでなく、韓米日の安保協力はもちろん、韓米同盟にも傷を残した。国内的にも、GSOMIAをめぐる確執と国論分裂が続いた。今年8月22日のGSOMIA破棄決定以降、この3カ月間は実利・名分・国益をすべて損なう「失われた3カ月間」だったという声が出ている。野党は、国の安保を担保に冒険をしたものだとして、「自害外交」だと批判した。

 韓米同盟が損なわれるという懸念があるにもかかわらず、青瓦台が今年8月にGSOMIA破棄を決定したのは、韓日間の歴史問題による確執の仲裁に消極的な米国を巻き込み、日本の輸出規制撤回を誘導するためだった。GSOMIAに代表される韓米日安保協力を通じ中国をけん制しようという米国の東アジアの戦略や、日本の日米同盟に対する敏感な反応などを考慮すると、3カ月という時間を置いてGSOMIAで圧力を加えれば、米国も日本も変化するだろうとの計算だった。韓日間の歴史や経済をめぐる確執に安保事案を絡ませるのはふさわしくないという指摘もあったが、青瓦台は予想に反してGSOMIA破棄を決定した。韓米同盟を損なうという懸念の声に対しても「米国は理解を示した」と防御線を引いた。

 ところが、GSOMIA破棄決定直後から米国はマイク・ポンペオ国務長官を筆頭に「失望した」と露骨に不満を表明した。GSOMIA問題に刺激を受けた米国が日本を説得し、韓日間の仲裁に乗り出すだろうという予想もすべて外れた。むしろ米国は、日本ではなく韓国に対してGSOMIAに復帰するよう圧力を加えた。米国の韓国に対する圧力にはポンペオ国務長官やマーク・エスパー国防長官のほか、デビッド・スティルウェル国務次官補、ランドール・シュライバー国防総省次官補など主要人物がすべて加勢した。こうした米国の全方位的な圧力があっても、青瓦台は「GSOMIAがなくても米国を通じて韓日が情報を間接的にやりとりする韓米日の情報共有に関する取り決め(TISA)で補完できる」と粘った。だが、GSOMIA終了を前に、米国が防衛費交渉と連携させて波状圧力をかけはじめ、青瓦台は結局、日本との「条件付き延長」に合意した。最悪の事態は避けられたが、韓米同盟には傷が残った形だ。

 日本が輸出規制を撤回する見通しも不透明だ。韓国政府は李洛淵(イ・ナクヨン)首相、文喜相(ムン・ヒサン)国会議長、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官らあらゆる人物を通じて日本に対し、輸出規制撤回とGSOMIA復帰の引き替えを交渉した。文在寅大統領は先日、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(韓中日)首脳会議が開かれたタイで、日本の安倍晋三首相と非公式面談までした。しかし、徴用判決に対する根本的な解決が必要だという日本のこれまでの見解に変わりはなかった。今回の韓日間協議には、両国の確執の根本的な原因だった徴用問題に関する話はなく、輸出規制も対話状況の影響を受けることになった。

 こうした間に、国内的にもGSOMIA延長を要求する野党との対立が広がった。第一野党・自由韓国党の黄教安(ファン・ギョアン)代表はGSOMIA延長を要求してハンストまでした。文在寅大統領と政府・与党が得たものと言えば、GSOMIA破棄と反日感情強化を通じた「反射的利益」だった。文在寅大統領はチョ国(チョ・グク)前法務部長官問題で一時、支持率が40%を切る危機を迎えたが、GSOMIA終了期限を前に反日感情が大きくなり、支持率は40%半ば台に回復した。

 しかし、結局はGSOMIA終了ではなく、条件付き延長で日本と「不完全合意」をしたことで、支持層の反対が広がる可能性がある。事実、市民運動団体の「参与連帯」は同日、「政府の決定は米国の露骨な圧力に屈したものだ」とコメントした。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

ソース:朝鮮日報/朝鮮日報日本語版<親日・反日で国を二分、韓米同盟まで揺るがした混乱の3カ月>
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/23/2019112380017.html