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清海部隊の作戦海域、3.5倍増…対潜・対空武装も強化

国防部「国会同意は必要ない」…野党側は「任務変更時も同意を経るべき」

 韓国国防部(省に相当)は21日、アデン湾海域へ派兵中の韓国軍清海部隊をホルムズ海峡一帯に派遣すると発表した。先に米国は、イランとの摩擦で中東地域の戦雲がたれこめたことを受け、韓国側にホルムズ護衛連合である「国際海事保安機構(IMSC)」への参加を要請した。しかし韓国側はこれを受け入れず、清海部隊の作戦地域を拡大する「独自派兵」方式の迂回(うかい)ルートを選んだのだ。

 国防部は「韓国政府は現在の中東情勢を考慮し、韓国国民の安全と船舶の自由航行保障のため、清海部隊の派遣地域を一時的に拡大すると決定した」と発表した。清海部隊の派遣地域は、アデン湾一帯からオマーン湾、アラビア湾(ペルシャ湾)一帯およそ3900キロにまで拡大され、韓国国民と船舶の保護任務を遂行する予定、と国防部は説明した。作戦区域が従来(1130キロ)より3.5倍ほど増えるのだ。

 国防部の関係者は「昨年5月に中東地域で緊張が高まって以降、内部でさまざまな案を検討してきた」として「韓国国民と船舶の保護、安定的な原油輸送などを考慮した」と語った。続いて「アデン湾一帯の海賊の脅威は減少傾向にある」として「オマーンのサラーラ港を主な軍事補給港として利用してきた清海部隊は、昨年7月以降、オマーンのマスカット港とジブチ港を行き来しつつ軍需物資を積むという方式に変更した」と説明した。マスカット港はアデン湾ではなくオマーン湾一帯の港で、ホルムズ海峡に近い。清海部隊は既に昨年7月からホルムズ海峡付近で活動を続けてきた、ということを意味する。

 また韓国軍は、昨年末に清海部隊第31陣の駆逐艦「王建」(4400トン級)が韓国をたつ際、既に対潜・滞空能力の補強も行った、と明かした。爆雷や魚雷、潜水艦探知のためのえい航ソナー(TASS)などが補強されたという。清海部隊の作戦地域変更は、清海部隊第31陣の「王建」が第30陣の「姜邯賛」と任務を交代した21日午後5時30分から適用された。

国防部は、派兵ではなく「派遣」という用語を使うとともに「国会同意は必要ない」とした。昨年末に国会を通過した「国軍部隊のソマリア・アデン湾海域派遣延長同意案」によると、清海部隊の派遣地域は「ソマリア・アデン湾海域一帯」に限定されているが、「有事のとき、韓国国民の保護活動の際に指示される海域を含む」という但し書き条項が付いているため、作戦地域をホルムズ海峡まで拡大しても国会同意は必要ないという論理だ。これに関して、国防部の関係者は「中東の緊張の長期化、国民や船舶の安全、安定的原油需給などを考慮し、現在の状況を『有事のとき』と判断した」と説明した。

 だが野党側は「戦闘部隊を送るのに国会同意が必要ないというのは、事実上『うわべだけの派兵』であることを認めることになる」と主張した。国会国防委員会で保守系最大野党「自由韓国党」の幹事を務める白承周(ペク・スンジュ)議員は「国防部は、昨年7月には『清海部隊の任務を変更する際、必ず国会の批准同意手続きが必要』と言っていた」として「戦闘部隊を送る派兵を、今になって国会同意は必要ないと言っており、法律を必要に応じて勝手に解釈している」と指摘した。

 韓国政府が米国主導のIMSCに参加せず、既に付近で作戦中の清海部隊の作戦区域を拡大したのは、一種の「折衷案」だと解釈されている。国際社会の関心事となったホルムズ海峡一帯の安全確保の努力に賛同しつつも、米国とイランのうちどちらかの肩を持つような印象を与えないため、折衷案を選んだというわけだ。

 今回の決定は日本の戦略をベンチマークした(見倣った)もの、という評価も出ている。日本は既に昨年末、米国のIMSC参加要請を拒絶し、海上自衛隊の護衛艦と哨戒機だけを派遣すると方向を定めた。

 ただし国防部は、清海部隊に所属する領官(佐官に相当)クラスの将校二人をバーレーンのIMSC本部へ派遣し、連絡将校という形で運用することにした、と明かした。独自派兵形式ではあるが、米軍とコミュニケーションを取るチャンネルは開いておきたいということだと解されている。

金真明(キム・ジンミョン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/01/22/2020012280077.html
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2020/01/22 11:00