大邱市のクォン・ヨンジン市長が「『大邱肺炎』という言葉を使わないでほしい」という呼び掛け文を発表した。

インターネットやSNS(会員制交流サイト)などで「大邱肺炎」「大邱コロナ」といった言葉が無分別に使われ、「大邱封鎖」を主張する声まで出ているからだ。ある放送では「大邱発コロナ19」という字幕まで映し出した。

クォン市長は「痛みに苦しむ大邱市民を嘲弄せず、政治的な道具とする行為も慎んでほしい」と訴えた。

あたかも大邱をウイルスの震源地であるかのように間違って認識させた張本人は政府だ。

保健福祉部(省に相当)長官が本部長を務める中央事故収拾本部が今月20日、報道資料の題目を「大邱コロナ19対応汎(はん)政府特別対策支援団稼働」としたことで問題に火が付いた。

今回の事態は中国武漢から始まった。中国の患者は8万人に肉薄している。政府が中国に対してドアを開けているせいで、このウイルスが韓国国内に浸透したのだ。全ての国民が被害者だ。それなのに、これがどうして「大邱コロナ」になったのか。実際、感染者全体のうち40%以上は大邱や新天地教会とは何の関係もない。

現在、大邱市民は口にすることもできない苦しみに直面している。大邱市民が何か間違いでも犯したのか。ところが間違いを犯した政府が罪のない市民の傷口に塩を塗っている。本当に大韓民国政府か。

政府は2日後に「明らかなミス」として釈明したが、それが本心かどうかはわからない。青瓦台(大統領府)は「『武漢肺炎』という用語は使うな」と呼び掛けて、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「韓・中は運命共同体」と発言した。

中国の顔色をうかがって「韓・中ウイルス共同体」を築いたかと思えば、今度は「大邱コロナ」と言い出した。政権上層部の雰囲気が担当する政府職員にまで広まって起こった騒動ではないのか。


朝鮮日報日本語版 2020/02/24 11:07
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