新型コロナウイルスの感染が拡大する中、検査体制はどうあるべきか、議論が紛糾している。

2月25日に発表された基本方針で、政府は新型コロナウイルスの特徴として以下の事実がわかったとした。

・罹患しても軽症であったり、治癒する例も多い。 重症度としては、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、季節性インフルエンザと比べて高いリスクが ある。特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高い。

・インフルエンザのように有効性が確認された抗ウイルス薬がなく、対症療法が中心である。また、現在の ところ、迅速診断用の簡易検査キットがない。

・一方、治療方法については、他のウイルスに対する治療薬等が効果的である可能性がある。

こうした特徴を踏まえて、政府の専門家会議の尾身茂副座長は、24日、検査の目的については「感染の可能性がある人を捉えるのではなく、重症化する可能性がある人を捕捉するためのもの」と説明。

「疑わしい人全員に検査を、という考えは全くない。これがもっとも合理的でバランスが取れた方法だ」と語った。

そして、基本方針では軽い風邪のような症状の場合には医療機関を受診することがかえって感染リスクを高めるとして、自宅での安静・療養 を原則とした。

PCR検査は、患者の鼻や喉の粘膜をこすって採取した検体にウイルスの遺伝子情報があるかどうか、採取された微量の遺伝子を増幅させて確認する検査。新型コロナウイルスのPCR検査はインフルエンザの検査と異なり、現在は行政検査のため、保健所で行なわれている。

当初は、検査を受けるための基準として、発熱や咳などの呼吸器症状のほかに、感染者との濃厚接触や中国湖北省または浙江省への渡航歴などが挙げられていた。

現在は「医師が総合的に判断して感染の疑いがある患者」に検査対象は拡充されている。

ところが、症状があっても、新型コロナウイルスに感染していないかを調べるためのPCR検査をしてもらえないという声がSNSなどで広がり、Twitterには「#検査拒否」というハッシュタグとともに、検査を拒否された体験談や、検査してもらえないなら「迷わず救急車を呼ぼう」と煽ったり「国民の命よりオリンピックの方が大事なのだろう」と嘆いたりする投稿も。

2月26日の衆院予算委員会では、山井和則議員(無所属)から”検査難民”という言葉まで飛び出した。

《中略》

集団感染が起きた大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の感染対策の不備を動画で指摘した神戸大学の岩田健太郎教授は、Twitterで「医師が必要と感じる時に検査できないのは問題だが、不安を回避するための検査はすべきではない」と発信し、政府の方針に一定の理解を示している。

まず「検査をしなければならない」という前提から離れるべきです。検査は必要です。必要な人には。が、「とりあえず検査」は間違いです。検査のキャパを増やすのはいいアイデアですが、単に増やして無計画に検査するともっと悪いことが起きます。それがクルーズ船で起きたことです(検査陰性ー>下船)
<2月26日午後4時6分ツイート>

検査問題は2つに分ける必要があると思います。1.必要な方に検査できるよう。熱が持続する、医師が検査を必要と感じるときに出来ないのは問題。2.不要な検査、不安を回避するための検査はすべきでない。不安回避行動は、さらなるハザードの原因になりむしろ不安増大の根拠となる。
<2月27日午前7時10分ツイート>

検査件数が増えると結果が出るのが遅くなり、本当の患者捕捉(重症者)が困難になります。リソースが有限であるという事実を前提にしなければならないのです。
<2月27日午前8時50分ツイート>

《中略》

2月27日には、現状では約6時間かかる検査が15分に短縮できる新検査機器が3月にも医療現場で導入されるとの報道があった。

また、一般の患者ではなく医師が依頼した場合に保健所から検査を断られる「検査拒否」のケースについては不適切だとして、日本医師会や厚労省が実態を把握するための調査を行うという。

中村 かさね (Kasane Nakamura)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200227-00010003-huffpost-soci

2/27(木) 18:34配信