まかり通るファンたちの強気な「要求」

日本でも現役アイドルの「デキ婚」はよくあること。韓国では1月に、人気グループの『EXO』のメンバーであるチェンがデキ婚を突如発表し大きな騒動になりました。

なぜなら、EXOの一部ファンがこのデキ婚に反対し、「グループから脱退しろ!」という声明を出し、しまいには反対するファンたちを集めたデモや、所属事務所SMエンタテインメント社屋付近で、電光掲示板を載せた車両を走らせるなどの行動を起こしたからです。

実は、このような「ファンからの強気な要求」は今に始まったことではなく、韓国では度々起きていること。なぜK-POPファンはこのような行動を起こすのか、少し考えてみたいと思います。

ファンたちによる強気な要求は、K-POP界ではあとが立ちません。日本と関連ある騒動としては、BTSが日本で発売する予定だった、秋元康氏が作詞提供をした新曲『Bird』が、発売中止になったことでしょう。

公式な発表では「制作上の都合」となっていますが、実際のところは「秋元氏とBTSのコラボを問題視した韓国のARMY(BTSのファンの名称)が不買運動を起こし、それが日本のファンにも拡がる形となった」と言われています。

日本で活動をしてきた『NU’EST』のメンバーによるサブユニット『NU’EST W』の日本でのリリースイベントなどが、韓国のファンからの「アーティストの負担になりかねない」という強い要望により、直前になってキャンセルされたこともありました。

他にも解散を発表したグループの「解散撤回」を要求するデモが大規模に行われたり、なかなか活動をしないグループの活動に対して事務所に理由のフィードバックを要求したり…、大小様々なファンからの要求による「声明」が出されています。

しかもこれらの要求が通ってしまうこともしばしばあります。これは、韓国のアイドルとファンの関係性にあると思われます。

韓国の中でK-POPというジャンルは決して大衆的ではありません。ニッチであり、特定のファンが応援することにより成り立っているのです。以前記事にしたファンが自腹で誕生日広告を出す行為も、その「アイドルとファンの関係」を物語っているでしょう。

K-POPアイドルを支えるファンの機嫌を損ねることは、韓国でのファンを減らすことになるので、その顔色を伺うことが大事になってくるのです。

まさに「モンスターファン」ともいえるファンに対して、疑問を唱える声も出てくるようになりました。

EXOのチェンの脱退要求騒動が大きくなる中で、ソウル大学のSNSに書かれた文章が話題になりました。

その記事には「今回の騒動でメンバーを攻撃する“自称ファン”の態度に驚愕した」「ファンから、自分たちの思い通りに動くマリオネットのように扱われているアイドルが心配」などと書かれており、モンスターファンに対する苦言は韓国のなかでも多くの「いいね」を得たそう。

一方で、その書き込みに対し「ファンは多くの投資をしたのだから、その立場を尊重してもいいはず」というモンスターファン擁護の声もあり、「アイドルたちは自分たちのもの」という心理を持つ人も多くいることをうかがわせました。

(中略)

ジャンルは全く違えど、自分たちの思ったこと、感じたこと、追求したいこと、動かしたいことに対して「声を出せば動くかもしれない」ということを彼らは過去の民主化運動というところから学んでいるのかもしれません。

その反対に「物を言わなすぎる」と言われている日本人ですが、日韓を双方をよく知る人たちからは、「物を言い過ぎる韓国人と言わな過ぎる日本人の気質を足して二で割ったくらいがちょうどいい」などと笑い話になったりします。

とはいえ、アイドルたちも一人の人間です。自分たちの思い通りにならないからといって傷つけていいわけではありません。愛するゆえの行動が、愛する誰かを傷つけることのないよう、応援できるのが一番です。

文:西門香央里

FRIDAYデジタル
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3/4(水) 7:02配信