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▲ ファン・シンギ平和研究所長
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SARS、新型インフルエンザ、MERSからコロナ19まで、17年間で4つの感染病が我々を苦しめている。人類の歴史と共に歩んだ感染病の経験が蓄積されているはずだが、依然として国によって政治指導者による対処が異なり、結果も雲泥の差がある。それはたぶん、歴史の教訓として学んだか、学んでいないかの違いだろう。

コロナ19の危機で、安倍晋三首相が出した政策は駄作中の駄作である。クルーズ船『ダイヤモンドプリンセス』の失敗や、ノーベル生理学賞を5人も排出した医療先進国のくせに、コロナ19の検査が1日で1,300件あまりに過ぎない不思議は、SARSやMERSを経験していない『ウイルス不感症』だとしておこう。アジアで唯一2度目の夏季オリンピックを行う底力の日本なのに、すぐによくなるだろうと楽観して応援までした。

しかし、1日に2万件に迫る数を迅速に検査する韓国の診断、治療体系と比較して、鈍臭い日本政府のコロナの対応に怯え、苛立った日本人が、「命よりもオリンピックが重要なのか」と安倍政権の支持を一人二人と撤回すると、慌てて打ち出した政策に呆れ返ってしまう。事実上の韓国人と中国人の入国禁止である。

コロナ19の増加傾向が鈍化している韓国、中国からの入国拒否と、日本で拡がるコロナと何の関連性があるのか、科学的データや検証結果も提示しなかった。11日の厚生労働省の発表を見れば、クルーズ船を除く日本国内の確診者は、前日よりも約9.5%も増加した568人に達した。日本各地で拡散するコロナを防ぐ方法が『ミジュギワ対策(水際である空港や港湾でウイルスを防ぐという意味)の根本的な強化』とか、島国らしい発想である。国民の不安を解消できない、政治の無気力を見ているようである。

中国の習近平(シ・ジンピン)国家主席の日本訪問延期を発表した日に出た韓中発の入国禁止は、安倍政権の岩盤支持層である核心保守勢力を満足させるための『政略的』決定である。安倍も『政治的判断』であることを認めた。草と緑は同じ色(類は友を呼ぶ)か。韓日保守の『中国(韓国)人入国禁止』の主張がいかに似ているのか、不思議な程だ。国民を意識せざるを得ないのが政治家だが、コロナ19という未知の感染病に医学と科学で対処すべきなのに政治が介入し、医療先進国のくせに後進国のような対応を取る日本を世界が注目しているのはアイロニー(皮肉)だ。

昨年7月、日本は半導体の核心素材3品目に対する対韓国の輸出規制を打ち出した。強制動員被告企業の韓国国内資産の現金化も行われていないのに、安倍は報復の剣を抜いて国際社会を驚愕させた。当時、参議院選挙を控えた対韓国強硬策は、安倍と彼を取り囲む右翼の作品である。日本ですら反発を招いたこの措置は選挙で大した結果は出なかったが、韓日関係を国内政治に躊躇なく利用する安倍の真の姿をはっきりと確認させた。

今回もその延長線上である。韓国人入国禁止について、韓国人や韓国政府が猛烈に反発することを予想して、安倍は先制攻撃を加えたのだろう。韓国は日本のコロナ感染者の増加傾向、数字に表れない『透明の感染者』がさらにいるはずだという恐怖にもかかわらず、日本人の入国禁止に慎重な姿勢を立て通してきた。「コロナ診断キットの技術を日本に提供する」と、保険福祉部長官が公言までした韓国である。もちろん韓国は日本が発表した翌日の6日の夕方、迅速に相応措置を出した。泣きたいところに頬を殴ってくれた(?)恰好である。

韓国を軽く政治に使う日本と同一線上に置くのは冒涜であり、韓国を侮辱する嫌韓行為である。日本のビザ効力停止に対し、相互主義に従ってビザ効力停止を選択した韓国政府を『反日』だと攻撃する日本の保守と一部のメディア、ジャーナリストの見当違いな話を聞くのは痛々しい。

日本の大邱(テグ)や清道(チョンド)など、感染者の発生が多い地域の入国制限は妥当だった。しかし、全面的な制限は納得し難い。『特別入国手続き』のような中間段階をなぜ省略したのか残念だ。輸出規制措置や韓国人入国禁止は、歴代のいかなる日本の首相も行わなかった外交的逸脱だ。殖民地支配の負債意識が少しでも残っていた元首相とは異なり、韓日を普通以下の関係に下げようとする安倍首相は韓国に大きなリスクだ。

韓中、韓日、日中は、外交懸案を常に抱えて住んでいる隣人である。非伝統的な安保領域である感染病だけは、国境を越えて協調する枠組みを作るべきなのに、日本は単独で逆行する。安倍リスクがどこまで暴走するのか心配だ。

ソース:ソウル新聞(韓国語)
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