12日午前、済州島に行く格安航空会社「ティーウェイ航空」の旅客機に乗るため、金浦空港(ソウル市江西区)に到着した会社員のイさん(28)は、空港にサーモグラフィーカメラ(熱感知カメラ)が1台もないことを知って驚いた。しかも、発熱をチェックする職員もいなかった。イさんは済州空港の入国ゲートに到着してはじめてサーモグラフィーカメラを見た。イさんは「密閉された機内で数百人が密着して座り、1時間以上過ごした後に検査をすることに何の意味があるのか」と言った。

 国際線でも大差はなかった。14日午後、上海行きの中国東方航空機を利用した海外在住韓国人のイさん(57)とチェさん(56)夫妻も金浦空港の出国ゲートで飛行機に乗るまで、発熱チェックを受けなかった。機内に入る前、航空会社職員が体温を測ったのが唯一だった。空港ではなく、航空会社が自主的に検査していた。

 現在、金浦空港のサーモグラフィーカメラは1台だけである。韓国空港公社の関係者によると、国際線到着便の乗客を対象に出入国審査台の前に設置したものが唯一だという。いくら高熱があっても、航空会社が制止しない限り、国内・国際線航空機の搭乗には問題がない。金浦空港は先月の1カ月間で120万人が利用した。仁川国際空港が空港到着から航空機搭乗まで3段階にわたり発熱の有無をチェックしているのとは対照的だ。

 空港公社側は「発熱チェックは公社の責任ではない」という見解を持っている。空港公社の関係者は「サーモグラフィーカメラの操作は地方自治団体の責任だ。先月24日、ソウル市と江西区庁に装備・人員支援要請をしたが、19日間もたってからやっと『自己解決せよ』という回答が来た」と話す。これについて江西区は「管内に感染者が相次いで発生しており、自宅隔離者が115人にも達している。保有している装備もなく、防疫人員も大幅に不足しているため、空港公社の要請に応えるのは難しい」としている。

ファン・ジユン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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2020/03/18 08:16