韓国ウォン暴落!危険水域を突破 米に泣きつきスワップ再開も…3度目の“通貨危機”に現実味


 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに韓国の通貨ウォンが売られ、「1ドル=1200ウォン」の危険水域を突破している。文在寅(ムン・ジェイン)政権は米国に懇願して「通貨交換(スワップ)協定」をなんとか再開してもらったが、資金流出によるドル不足も生じており、3度目の通貨危機の懸念は払拭できない。


 米連邦準備制度理事会(FRB)は19日、韓国銀行など9つの中央銀行と臨時通貨スワップで合意した。最大600億ドル(約6兆6000億円)のドル資金を供給する。

 韓国はリーマン・ショック直後の2008年10月の通貨危機でも米国との通貨スワップで救済された。協定は10年2月に終了しており、対米スワップ再開に必死だった。

 20日の朝鮮日報(日本語電子版)によると、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相がムニューシン米財務長官に自筆の手紙を送り、韓銀の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁もFRBのパウエル議長に直談判したという。

 スワップ再開決定を受けて、対ドルで一時、1290ウォン台と約10年ぶりの安値だったウォンは、20日時点で1240ドル台とひとまず反発した。

 だが、これで安心はできないというのが韓国の本音だ。中央日報(同)は社説で「市場の恐怖が収まらない限りドルの需要は増え、不安が続く可能性が高い」とした。

 「1500ウォンまでウォン安が進む可能性がある」と指摘するのは週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏。これはリーマン・ショックや1997年の通貨危機の水準だ。


 勝又氏は「各国が入国制限や経済活動の自粛を進めており、輸出が一段と落ち込むのは確実だ。経常収支が赤字に転落すれば海外の投資家が資金を引き揚げる動きも強まる」と解説する。

 韓国への入国禁止など制限を実施しているのは20日時点で174カ国・地域。朝鮮近現代史研究所の松木國俊氏は、「現地にビジネスマンが行かなければ商談もできないし、海外の生産拠点も本部から人を出さなければコントロールできない。海外頼みの経済に致命的な影響が出てくるのではないか」と語る。ウイルスの発生元である中国の経済が落ち込んでおり、「悪影響が玉突き的に出てくるだろう」と語るのは、第一生命経済研究所主席エコノミストの西濱徹氏だ。「韓国の輸出全体で中国本土向けは27%弱、香港向けと合わせて34%強と依存度が高い。国内総生産(GDP)比を試算しても中国本土向けのみで8・5%、香港向けを含めると10・5%と極めて高水準だ」と分析する。

 一方、日本との通貨スワップは15年、韓国側が一方的に破棄しており、再開する環境にない。韓国の危機は終わらない。

zakzak
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200321/for2003210005-n1.html