韓国政府が新型コロナウイルスの感染防止管理を強化する行政命令に違反した療養病院に対し、損害賠償請求を検討。京畿道は新型コロナウイルス感染者の接触者リストに漏れがあったという理由で盆唐済生病院を刑事告発する方針を示し、いずれも医療界が強く反発している。

大邱市の17歳の高校3年生に対する新型コロナウイルス検査結果に関し、中央防疫対策本部が嶺南大病院の検査ミスを指摘したことに巡っても、大邱医師会などが謝罪を要求した。

防疫の第一線で医療陣と病院が苦闘する中、政府が医療界に感染拡大の失敗責任を押し付けて攻撃するのは適切ではないとする反発だ。

■政府・自治体の医療界攻撃に反発

崔大集(チェ・デジプ)大韓医師協会会長は22日、本紙の電話取材に対し、「防疫に失敗した政府が新型コロナウイルス事態の最前線で闘う医療機関に対する刑事告発や損害賠償などで責任を転嫁することは、人助けをしているのに汚名を着せられたに等しい」とした上で、「直ちに撤回しなければ、強硬に対応していく」と表明した。

崔会長は「民間医療機関は新型コロナウイルス関連の診療から手を引き、国公立病院と保健所に担当してもらうこと、防疫のためにボランティアに取り組んでいる医師を引き揚げることを検討している」とも語った。崔会長は23日に会議を開き、医師協会としての声明を発表する予定だ。

これに先立ち、崔会長は21日、フェイスブック上で政府の医療界攻撃について、「倫理にもとる行為」だと批判する文章を発表した。

韓国政府は20日、▲関係者以外の立ち入り制限▲看護者など従事者に対する発熱などの症状の確認と記録▲従事者のマスク着用−−などを骨子とする療養病院管理監督強化の行政命令に違反し、集団感染が発生した場合には損害賠償請求を検討することを決めた。

京畿道は同日、盆唐済生病院が集団感染の拡大に関連し、確定患者の接触者リストに故意に記載漏れを生じさせ、混乱と被害を誘発したとし、同病院を告発することを決めた。

同病院では3月5日に初の確定患者が出て以降、イ・ヨンサン院長をはじめ、医師、看護師、患者、保護者など確定患者42人が出た。調査過程でイ院長を含む接触者144人がリストから漏れていたことが分かり、病院が国民に対し謝罪した。

しかし、刑事告発は行き過ぎだというのが医療界の反応だ。崔会長は「政府の全体的な防疫失敗と緊急の対応戦略ミス、不十分な対応システムなどの問題を医師と医療陣、医療機関に責任転嫁し、刑事告発まで行うというのが現在のわが国の行政と政治だ」と述べ、「これは明らかに倫理にもとる」と批判した。

■「防疫失敗の責任を医療界のせいにするのか」

大邱市で死亡した17歳の高校生に関連し、中央防疫対策本部が嶺南大病院の検査ミスの可能性を指摘したことについても、大邱市医師会は「謝罪しなければ、所属会員約5700人は座視しない」と表明した。

大邱市医師会のイ・ソング会長は22日、本紙の電話取材に対し、「寝る間も食事する時間も惜しんで苦闘する医療陣はとても慚愧にたえない思いでいる」とした上で、「謝罪など政府の措置を見て、今後の対応を協議したい」と述べた。

中央防疫対策本部は19日、問題の高校生の検査結果を陰性と最終判断したことで、嶺南大病院の実験室が汚染された可能性を指摘し、検査を暫定的に中断させた。しかし、21日になって、「嶺南大病院の検査の信頼度そのものには問題ない」とし、検査再開は可能だと立場を変えた。

これに先立ち、大邱市医師会は21日の声明で、權刪閨iクォン・ジュンウク)中央防疫対策本部副本部長が臨床専門家の領域で論議すべき検査結果とそれに関する事項をあいまいにし、嶺南大病院の診断検査ミスという問題に発展させたと批判し、「検体の検査で起こり得るあらゆるミスを国民は理解しにくいのが現実なのに、現実を無視したまま、大学病院のミスの問題だとした」と指摘した。

慶尚北道医師会も20日、「疾病管理本部が嶺南大病院の単純な検査ミスと断定し、司法解剖による正確な診断もせずに性急に幕引きを図ろうとするのは正しい姿勢ではない」と主張した。

2020/03/23 11:20/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/03/23/2020032380064.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/03/23/2020032380064_2.html