文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9日、青瓦台で主宰した国務会議で、「危機が不平等を増やすという公式を必ず破る。むしろ危機を、不平等を減らす機会にしたい」と語った。また、「雇用のセーフティネットや社会のセーフティネットを強固にし、包容国家の基礎をしっかり固める契機にしたい」とも述べた。

 文大統領は同日、「我々はこれまでアジア通貨危機や世界金融危機を経験しながらも、危機克服に成功してきたが、そのたびに所得格差が広がったという歴史的経験を持っている。現在の新型コロナウイルス危機でも不平等が現実の問題となっている」と言った。そして、「政府がこれまで積極的に展開してきた包容政策の結果、昨年から二極化(貧富の格差の拡大)傾向を反転させるのに成功した分配の指標が改善されるという成果があった。しかし、予期せぬ新型コロナウイルスの影響による経済危機の中で、不平等が再び悪化している」と説明した。所得分配の悪化は新型コロナウイルスのせいだということだ。

 実際には、政府が所得主導成長を促進しているのにもかかわらず、階層間の所得格差は広がる傾向が続いている。政府が基礎年金・失業手当などの支給を増やしても、今年1−3月期の所得分配は昨年より悪くなった。低所得層(所得下位20%)の勤労所得は7四半期連続で減少し、昨年10−12月期に一時反騰したが、今年1−3月期に再び前年比で3.3%減少した。文大統領は同日、「雇用保険加入対象を段階的に拡大していくことで、今の危機を、全国民雇用保険時代の基礎を整える契機にしてほしい」「雇用こそ最高の社会のセーフティネット。政府は脆弱(ぜいじゃく)階層55万人の緊急雇用創出に直接乗り出している」と述べた。

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