銀行のアプリを悪用して他人の口座から不正に現金を引き出したとして、福岡県警は13日、不正アクセス禁止法違反と窃盗の疑いで東京都中央区、中国籍の職業不詳、林恭航容疑者(27)を逮捕した。

 逮捕容疑は6月24日午後、auじぶん銀行(東京)のスマートフォン用アプリに30代の会社員=北九州市=のID、パスワードを入力してログインし、都内のコンビニで現金自動預払機(ATM)から42万円を引き出し、盗んだ疑い。「不正アクセスは身に覚えがない。知人に頼まれて現金を引き出した」と容疑を否認しているという。

 県警によると、現金が引き出される約30分前、会社員のスマホに宅配業者を装ったショートメッセージサービス(SMS)が届き、銀行の偽サイトに誘導されてIDやパスワードを入力した。県警は他に関与した人物がいるとみている。

 悪用されたのは、キャッシュカードを使わずATMに表示されるQRコードをスマホアプリで読み取ることで入出金できるサービス。このサービスでの不正な現金引き出しを巡る摘発は全国で初めてという。警察庁によると、6、7月に同様の被害が全国で32件(約1060万円)確認されている。 (山口新太郎)

西日本新聞 2020/10/14 6:00
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