李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使が、国政監査の場で「70年前に韓国が米国を選んだのだから今後も70年間米国を選ばなければならない、というわけではない」と発言した。李大使は4カ月前にも「今では韓国が米中の間で選択できる国」と発言した。当時、米国務省が「韓国は数十年前、既に米国を選んだ」として不快感を示したにもかかわらず、30年以上も外交官生活を送ってきた李大使がまたも類似の発言を行った。言い誤りではなく、現政権の人々の胸中を代弁したのだろう。

 李大使は「韓国の国益になってこそ米国を選択する」と語ったが、韓国は国益になるから米国との同盟を選択したのだ。それは過去だけでなく今も同様で、予測可能な未来においても同じことだろう。トランプ後の米国も、以前と同じではないが韓国の安全保障にとって「最後のとりで」であり、韓米同盟のほかに別の代案があるだろうか。米国は韓半島に対する領土的野心がない唯一の国だ。何物にも代えられない自由民主体制を韓国と共有している。反面、中国は韓半島を自分の従属国と考えている国だ。歴史的に、地域覇権を追求しなかったことがない。暴力的外交政策を推進し、共産党一党独裁国家だ。貿易量が多いからと、こんな国を米国とはかりに掛けて選択できると言うのは、無分別な活動家学生くらいのものだ。

 今この瞬間も、北は韓半島を没落に追い込みかねない核兵器を開発しており、その背後にはまさに中国がいる。北朝鮮と手を握り、韓国を侵略した国が中国であって、その戦争で韓国を救った国が米国だ。今の韓国の繁栄は、韓米同盟なしには考えられない。そんな米国と中国を同等に置いてはかりに掛けるというのは、中国でさえも尊重され難い浅薄な行動だ。

 かつて左翼学生組織「全大協」(全国大学生代表者協議会)の議長だった統一相は、韓米同盟は「冷戦同盟」だと語り、安全保障担当の大統領特別補佐は「私にとって最善は、実際のところ同盟をなくすこと」と発言した。与党所属の国会外交統一委員長は「在韓米軍は過剰」「国連軍は族譜(家系記録)がない」と言った。中国とも良い関係を維持するのは重要なことだ。しかし根本を外れてしまっては、災厄に見舞われることになる。今では、韓米同盟の管理が最優先の業務課題であるべき駐米韓国大使まで「米国を選択せねばならないわけではない」と言っている。もう少ししたら「米国ではなく中国を選択すべき」という言葉が出てくるだろう。

朝鮮日報 10/14(水) 11:00
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