韓国船籍の船が北朝鮮に石油を密輸し、中国当局から立入り検査を受けたことについては「泥棒をしていて、もっと大きな泥棒につかまり恥をかいた」とも言える状況だ。

中国は国連安保理の対北制裁決議に堂々と違反し、北朝鮮に食料や原油などを提供してきた。安保理の対北制裁委員会によると、中国による制裁違反の事例は今年摘発されたものだけで60件以上に達する。

制裁違反の主犯とも言える中国が、「制裁違反」との理由で韓国船籍の船を海上で検査したのだ。

中国による今回の海上での立入り検査は、安保理決議第2375号第7項に基づくものだ。これによると、国連加盟国は特定の船舶が制裁違反を行った合理的な疑いがある場合、公海上でその船舶が所属する国の同意の下で立入り検査を行うことができる。

しかし中国は今月12日に問題の韓国船籍の船を抑留する際、韓国政府に通知をしなかったという。その過程で乗組員らは携帯電話も押収されたようだ。

対北制裁を事実上無視している中国が、強制的な方法で韓国船籍の船に立入り検査を行ったことについては、中国が米国に対し「われわれだけを問題視するな」というメッセージを送ったとの見方もある。

経済制裁を北核問題解決の核心レバレッジと考える米国は、最近になって中国に対する圧力を強めている。米国務省の複数の関係者はメディアを通じ、北朝鮮船舶がここ1年の間に中国の寧波や舟山に数百回にわたり石炭を直接運搬したことを公表した。

北朝鮮による石炭輸出は国連制裁によって禁じられているが、北朝鮮は中国の黙認により今年7−9月期までに4000億ウォン(約370億円)の収益を手にしたという。

米国は中国をターゲットとしているが、中国は韓国の違反事例を確保し、「核心当事国の韓国から『穴』があいている」として反撃できるということだ。

今回の韓国船籍の船による制裁違反に韓国政府が関与しているかどうかは明らかになっていない。しかし韓国船籍の船が制裁違反に関与した事例が相次いでいることから、韓国政府に対して責任を追及する声が高まる懸念も出てきた。

また2018年に南北対話が始まって以後、国際社会は韓国における制裁実行の意思を疑っている。安保理の対北制裁委員会は、過去に韓国政府が南北共同連絡事務所を設置する際、石油製品を持ち出そうとした事例などを「制裁違反」と判断した。

上記の韓国政府筋は「ただでさえ対北ビラ禁止法問題によって『人権や表現の自由を抑圧している』との指摘を受けている。このままでは『対北制裁違反国』という汚名まで着せられそうだ」と懸念を示した。


2020/12/24 07:31/朝鮮日報
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