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 【台北=杉山祐之】中国大陸沿岸部に位置する台湾・馬祖列島に2020年10月から12月にかけて、海砂採取船など中国の多数の民間船舶が接近を繰り返していたことがわかった。台湾国防部(国防省)系研究機関の複数の関係者が本紙に明らかにした。中国は、沖縄県・尖閣諸島周辺や南シナ海など敏感な海域に民間船を送り込んで関係国を圧迫しており、馬祖での動きも中台統一を拒む台湾への圧力強化の一環とみられる。

 馬祖では10月下旬、「約200隻」とされる海砂採取・運搬船の大船団が南竿島沖に出現し、海面を埋めた。漁船も交じっていた。採取船は海底の砂をポンプで吸い上げ、地元報道によると、島の砂浜がみるみる消失していった。馬祖は中国大陸から約10キロ・メートルの距離にあり、海砂は、中国福建省の空港建設などに使われているとみられる。

 台湾の国防安全研究院国家安全研究所の李俊毅・副研究員によると、11月初旬にも約50隻が南竿島付近に集結していた。本紙が入手した12月上旬撮影の写真でも南竿島沖に20隻近くが確認され、中国船集結は、常態化の様相を呈している。

 環境破壊の恐れがある海砂採取は、中国沿岸部では厳しく規制されている。中国側は、馬祖への集結は容認している模様だ。今月退任した台湾海巡署(海上保安庁に相当)の荘慶達・前署長は本紙の取材に対し、「中国当局が(禁止)命令を出しさえすれば、大半の問題は解決する」と語った。

 馬祖では、台湾側が管轄水域とする海岸線から6キロ・メートル以内への中国船侵入も相次いでいる。海巡署が管轄水域で駆逐した海砂採取・運搬船の延べ隻数は、18年は0隻、19年は91隻だったが、20年(1〜11月)は536隻に急増した。

 
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讀賣新聞 2021/01/25 07:12
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