「現代版ノストラダムス」と呼ばれるジョージ・フリードマン、ジオポリティカルフューチャーズ会長を昨年末、ソウルに招請して「50年後の世界」について討論機会を持った。次に世界大戦が起きるなら、それは米・中間対決になるだろうという観測が圧倒的だが、フリードマンは中国が衰退して日本が再び米国と対抗する可能性を提起した。

中国が絶対貧困層蔓延による社会の不安定化や地域紛争、人種問題などで衰退する一方、日本は社会経済的に安定した構造を有し天然資源を確保するための海上通路構築とこれを後押しする軍事大国の道を選ぶ他はなく、2050年頃、米国との戦争に至ると見通した。

不合理に聞こえるフリードマンの「予言」が実現される可能性は低く見える。しかし、日本の軍事大国化の可能性と関連して見過ごせない事実がある。まず核分裂物質保有量だ。日本は米・日原子力協定のおかげで核兵器非保有国のうち、唯一核兵器に転用可能なプルトニウム抽出とウラン高濃縮が可能な国家だ。ストックホルム国際問題研究所(SIPRI)によれば2018年、日本のプルトニウム保有量は45.7トンだ。これに六ヶ所村の再処理工場が稼動した場合、プルトニウムが年間7トンずつ追加生産される。

核脅威防止構想(NTI)によれば日本はまた他の核兵器原料である濃縮ウラン1.8トンも保有している。日本が保有するプルトニウムと濃縮ウランの純度は核兵器に適合するかについては議論があるが、日本の技術力なら核兵器転用は時間の問題だ、というのが大半の意見だ。

核兵器1基製造にプルトニウム約8キロ必要という国際原子力機構(IAEA)基準によれば日本は核兵器を5000基以上生産できる潜在力を持っている。中国の核兵器が320基程度というSIPRI統計(2020)に基づくなら日本の核武装は中国にとって「悪夢」だろう。数度にわたる北朝鮮の核・ミサイル試験にも少しも動かなかった中国が2017年、6次核実験とICBM発射成功後、国連安全保障理事会の超強硬制裁に参加することにしたのは北朝鮮の核脅威が危険水位を越える場合、日本に核武装の口実を提供することを憂慮したためという分析がある。

二番目は日本のリーダーシップ リスクだ。まだ日本国民60%以上が平和憲法を支持しているが、安倍晋三政権登場後、中国の急激な海軍力拡大に対応して日本も海軍力を強化しており、米国のインド・太平洋戦略で日本が主導的役割が増大している。第2,第3の安倍が現れて軍事大国化を本格化する可能性もなくはない。

三番目は宇宙航空分野での日本の大躍進だ。すでに水素液体燃料ロケットを利用した諜報衛星8基を発射し、昨年、無人探査船ハヤブサ2号は小惑星土壌試料を採取してくることに成功した。米国は宇宙資源利用に関するいわゆる「アルテミス合意」に東アジアで唯一日本だけ招いた。韓半島有事の際、後方支援のために始動がかかった米・日同盟がもう宇宙まで伸びている。

「韓半島地政学リスク」といえば当然、北朝鮮や中国を思い想起する。しかし、ドナルド・トランプ登場で米国大統領のガバナンス自体が安保リスクになったように自由民主主義と米国を同盟として共有する日本も状況変化により韓半島リスクになる可能性を排除することはできない。力を集めて私たちの安保力量を確かめる時だ。

[パク・イングク、チェジョンヒョン学術院院長・元駐国連大使]
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ソース:毎日経済(韓国語)[毎経春秋]地政学リスクと日本
https://www.mk.co.kr/opinion/contributors/view/2021/02/106503/