菅義偉首相は10日の衆院予算委員会で、政府が「従軍慰安婦」との表現を不適切とする答弁書を閣議決定したことを踏まえ、今年度以降の教科書検定で「従軍慰安婦」との表現が認められなくなるとの見通しを示した。「文部科学省が教科書検定において、政府の統一的な見解を踏まえ適切に対応すると承知している」と述べた。

 首相は「教科書の検定基準は閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解が存在している場合は、それに基づいて記述されることになっている」と強調した。

 萩生田光一文科相は、すでに「従軍慰安婦」との表現を記載している教科書に関して「教科書会社の対応状況を踏まえ、教科書検定基準に則した教科書記述となるように適切に対応していきたい」と語った。

 政府は4月27日の閣議で、慰安婦問題に関して「従軍慰安婦」との表現は適切でなく、単に「慰安婦」という用語を用いるのが適切だとする答弁書を決定した。先の大戦中に行われた朝鮮半島から日本本土への労働者動員について「強制連行」との表現が不適切だとする答弁書も決めている。

https://www.sankei.com/politics/news/210510/plt2105100014-n1.html