【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は31日付の記事で、米韓が21日の首脳会談で韓国のミサイル射程を制限する指針の撤廃を決めたことについて「故意の敵対行為」であり、米韓が「侵略の野望をさらけ出した」と批判した。北朝鮮が国営メディアを通じて米韓首脳会談の結果に反応を示すのは初めて。

ただ、当局の立場表明ではなく、「国際問題評論家」の個人名での見解の形をとっており、批判のレベルを調整し、バイデン政権の出方を見極めようとする狙いもうかがえる。バイデン政権が「実用的アプローチ」とする新たな対北政策に関しても「多くの国が権謀術数にすぎないと感じている」と牽制(けんせい)した。

米韓は北朝鮮全域を収める800キロまでとしていた韓国のミサイル射程制限を撤廃。31日の記事は、米国が北朝鮮の「自衛的措置」を国連安全保障理事会の決議違反と決め付けつつ、韓国には無制限のミサイル開発を認めるのは二重基準だと非難した。北朝鮮の「周辺国を狙った中距離ミサイル配備を合法的に実現しようというのが米国の下心だ」とも主張。中国やロシアを標的にした決定と印象付ける意図もありそうだ。

産経新聞 2021/5/31 10:54
https://www.sankei.com/article/20210531-MAKNKK4Z7FLQRN6CQ6DQCFEYLU/