中国が環太平洋連携協定(TPP)に加入するには、知的財産権の保護、国有企業の優遇制限、政府調達の透明性確保など、TPP協定が定める厳格なルールを順守することが前提となる。

日本政府内には「ルールを受け入れられるのか大いに疑問だ」(政府関係者)との意見が根強い。加入問題は難航が必至だ。
 
中国が16日に行ったのは、加入交渉の開始要請。TPP参加国側はまず、「合理的な期間内に」加入交渉を開始するかどうかを決定する。

決定権を持つ「TPP委員会」で今年の議長を務める西村康稔経済再生担当相は17日の閣議後記者会見で、「極めて高いレベルのTPPルールを満たす用意ができているかしっかりと見極める」と強調した。
 
産業界でも、「中国で自社製品と似た自動車部品があふれている」(日本の大手自動車部品メーカー)など、中国がルールを守れるか疑問の声が上がる。中国が加入するには、多くの分野で中国国内の制度改革を迫られるのが実態だ。
 
国際社会で懸念が広がる中国・新疆ウイグル自治区の人権問題もネックとなる。梶山弘志経済産業相は17日の会見で、「強制労働の問題も、懸念を抱か(れ)ないようにしていかなくてはならない」と言及した。
 
日本政府は、TPPのレベルを下げる例外扱いは認めない方針。しかし、加入交渉開始を目指す中国が協定を守ると宣言しつつ、「自国に有利な例外を設けようと交渉してくる」(経済官庁幹部)との懸念もくすぶっている。


2021年09月18日08時56分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091701059&;g=eco