東京都武蔵野市の松下玲子市長が市議会に提出した、外国人にも住民投票権を認める条例案が13日の総務委員会で審議され、賛成多数で可決された。21日の本会議で最終的な採決が行われる。外国の勢力による「静かなる侵略(サイレント・インベージョン)」や、「経済安全保障」などが国政でも焦点となるなか、強引な採決を疑問視する声もある。

注目の条例案は、「市内に3カ月以上住む18歳以上」であれば、外国人も日本人と区別せずに住民投票できる。

総務委では、自民党会派や公明党は「外国人参政権の代替として利用されかねない」「市当局の周知不足」などを指摘し、反対に回った。

一方、立憲民主党系会派や共産党は賛成した。委員会採決は賛否が各3人の同数となり、最後は立憲民主党系の委員長の判断で可決された。

松下市長は「外国人も町の一員であり、住民投票に参画する資格がある」としている。

今回の条例案をどう見るか。

外国勢力の浸透工作に詳しい情報戦略アナリストで、「令和専攻塾」塾頭の山岡鉄秀氏は「オーストラリアのタスマニア州ホバート市では、外国人留学生まで参政権を認めた。すると、中国系候補が立候補して、『中国の南極進出戦略のための拠点化』など、中国政府の利益を代弁するような主張を行ったことがある。日本人は善意で『外国人とも仲良くしよう』とするが、宥和的でない勢力や、外国政府の意向が反映させられる危険性がある。武蔵野市の『外国人住民投票』条例案は阻止すべきだ」と語った。

今回の条例案は、市が昨年4月、「自治基本条例」の制定をきっかけに浮上した。この根本的な問題点を指摘する向きもある。

麗澤大学の八木秀次教授(憲法学)は「自治基本条例は、国家以前に基礎自治体が存在するとし、『国家なき地方自治』を考えて、自治体外交や独自の防衛政策も想定している。今回の条例案の根本にある自治基本条例の改廃をしなければならない。住民投票には法的拘束力はないが、事実上の政治的拘束力がある。国の方針と対立するテーマで住民投票を実施することで首長や議会を拘束し、国に対し、地方が抵抗する構図が生まれかねない」と危惧する。

条例案の本会議採決はどうなりそうか。

条例案に反対する地元の保守系市民団体「武蔵野市の住民投票を考える会」の金子宗徳代表は「総務委での可決は力不足だった。だが、市民の問題意識は高まっている。中間派の無所属議員らに『反対』を働きかけるなどして、『廃案か継続審議』に持ち込みたい」

夕刊フジ公式サイト 2021.12/14 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20211214-AVOBSAEBDBIAZGMTTZVYR547WU/