長年にわたり香港の観光名所として知られた水上レストラン「珍宝王国(ジャンボ・キングダム)」(全長約76メートル)の行方が注目を集めている。運営会社は南シナ海の西沙諸島近海で「沈没した」と発表していたが、24日になって一転、「沈んでいない」と表明。珍宝王国をえい航する船を運営する韓国の業者は香港メディアの取材に、今も南シナ海を漂っていると明かしているが、船体の左側が沈んだ状態にあり「海底に沈める予定だ」と述べた。

【水上レストラン「珍宝王国」、横から見ると…】
https://mainichi.jp/graphs/20220624/mpj/00m/030/038000f/2?inb=ys

 カジノ王として知られた故スタンレー・ホー氏が1976年に開業した珍宝王国は、一度に2000人以上の客を収容できる大型船。エリザベス英女王や米俳優のトム・クルーズさんが来店したこともあり、日本人にも人気だった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経営難のため、2020年に営業を停止。運営会社は、コスト削減のため海外の港に停泊させ、船の引受先を探すとしていた。珍宝王国は今月14日に停泊していた香港南部の香港仔(アバディーン)を離れ、海上をえい航されていた。

 運営会社は、19日に沈没したとの声明を発表。報道を受けて日本人からも「悲しい最期だ」といったツイートが相次いだ。ところが24日になって報道担当者が「沈んでおらず転覆した状態にある」と述べていた。

 香港の大手テレビ局「有線電視」は24日、珍宝王国をえい航する船を運営する韓国・釜山の会社幹部へのインタビューを報じた。船はもともと、カンボジア南部シアヌークビルの港に寄港させる予定だった。

 会社が船長から聞き取った話では、2メートルほどの高波に襲われて船体の一部が損傷し、左側が沈んだ状態にあるものの、沈没せずに海上を漂っているという。だが、幹部は有線電視に「引き揚げ作業をするのは不可能だ。この船がとても有名なことは知っているが、船の所有者と保険会社は海底に沈めることを計画している」と語った。【福岡静哉】

Yahoo!Japanニュース/毎日新聞  6/25(土) 4:30配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba8ea3b7c41fd77e76a783e63a6aae5b172c3e89