【ソウル=上杉洋司】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は21日、日韓双方が輸出手続きを簡略化する優遇国(ホワイト国)から外している問題で、韓国が先行して日本の優遇国復帰に向けた法的手続きに着手するよう担当閣僚に指示した。日韓関係の改善を加速させたいとの意欲の表れとみられる。

 国務会議で明らかにした。テレビで生中継された冒頭発言は、韓国メディアによると過去最長の約23分と異例の長さで、大半が日韓関係についてだった。尹氏は、米中対立や北朝鮮の核の脅威などにより「韓日協力の必要性が高まっている」と強調し、「共に利益を得るウィンウィンの関係にしなければならない」と訴えた。

 最大の懸案である元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題については、韓国政府が1965年の日韓請求権・経済協力協定で、「国民の個人請求権を一括で代理して日本から支援金を受け取った」と説明。韓国の財団が、被告の日本企業の賠償金相当額を支払う解決策について、「65年の合意と、(日本企業に賠償を命じた)2018年の大法院(最高裁)判決を両立させる折衷案だ」として理解を求めた。

 日本側の「謝罪」を巡っては、1998年の日韓共同宣言などを例に「日本は数十回にわたって歴史問題で反省と謝罪を表明している」と述べた。

 尹氏は、日韓が「関係正常化と発展を妨げる問題を取り除く努力を、それぞれがしなければならない」と強調。「韓国が先に動けば、日本も呼応するだろう」とし、日本の今後の対応に期待をにじませた。

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